四谷シモン 2014年7月6日
四谷シモンなる人物をご存知でしょうか。団塊の世代から、前後10年くらいの年代層の人には馴染みがあるかもしれません。ヒッピーとかアバンギャルドという名詞が持て囃された時代の人で、一時期、アングラ劇団に所属していました。うさおやcaccoは、その劇団員だった時代の熱烈なファンだったのです。
当時、渋谷には寺山修二率いる天井桟敷があり、新宿には唐十郎率いる状況劇場がありました。天井桟敷の有名人は、九條映子、東由多加、横尾忠則、大沼八重子、支那虎、桃中軒花月、萩原朔美、松田英子、カルメン・マキなどがいました。
対して、状況劇場には、李礼仙、麿赤児、大久保鷹、四谷シモン、根津甚八、小林薫、不破万作、佐野史郎、藤原マキ(つげ義春の奥さん)がいました。
さて、その状況劇場に俳優としていた四谷シモンさんですが本名は、小林兼光と言いまして、本業は人形の造形作家さんです。1944年7月12日の生まれなので、うさおのほうがちょいと年下。人形学校「エコール・ド・シモン」の主催者でもあります。
ニーナ・シモンが好きなことから「シモン」と呼ばれていたことは有名な逸話です。面立ちは歌手のローリーさんに似ていますが、もうちょいと深い趣のある顔立ちです。ローリーさんも、今や知る人がいないかも。
シモンさんは多彩な人で、ロカビリー歌手としても活動していました。
金子國義氏から、澁澤龍彦氏、唐十郎氏の知己を得ます。更に、澁澤龍彦氏から紹介され、ハンス・ベルメールの球体関節人形を教えられ、その作風に感銘を受け、ここから現在の人形造形作家にたどり着くのですね。シモンさんに何となく、男色趣味が感じられるのは、澁澤龍彦氏に傾倒したからかもしれないなあ。
うさおの通っていた大学に、一台のトラックが到着します。それが、唐十郎が率いる処の紅テント、状況劇場だったのです。トラックの上が舞台で、その狭い空間にチープな衣装の演者たちが、跳ね踊ります。それが、李礼仙、大久保鷹、四谷シモン、根津甚八だったのです。李麗仙と四谷シモンが双子を演じ、その印象が強烈でした。
さて、今回は横浜そごうに四谷シモンの人形展が開かれると聞いて、caccoが是非行こうと大乗り気です。何しろ若い時に、唐十郎、状況劇場にかぶれ、その思いがとても強いらしいです。
四谷シモン 最終日にて 2014年7月6日
展示された人形は、「無垢なるもの - 少女、少年」、「誘惑するもの - 女」、「自ら動くもの - 機械仕掛」、「天上のもの - 天使、キリスト」、「自らを作るもの - シモン」、「未完なるもの、そしてベルメールへのオマージュ」の6章構成になっていました。
当日は最終日でしたが、元々はシモンさんが会場に来られない日だったようなのですが、何と目の前にキリストの様な感じで、座っていらっしゃいました。ラッキー。caccoはサインも貰っちゃいました。
四谷シモン サインをして貰っている 2014年7月6日
四谷シモン アトリを模して展示されている 2014年7月6日
四谷シモン その作業場の前で 2014年7月6日
四谷シモン スタッフに囲まれて 2014年7月6日
四谷シモン 結構若い人もいて、大盛況 2014年7月6日
四谷シモン 撮影を許可されている人形 2014年7月6日
シモンさんは良いとこのお坊ちゃんの匂いがします。以前、成城や自由ヶ丘、真中の若い人とお付き合いがあった頃に、下町のうさおとは違う異質な匂いを感じました。少し、退廃めいていて、育ちの良さは隠せなくて、趣向がブルジョアっぽい、そんな感じですね。
でも、人形の表情には、新宿の裏町の饐えたような蓮っ葉な感じがしています。
個人的には、蓮っ葉って好きです。語源がよく判らないけど。
残念なことに、会場での写真は不可だったので撮影できませんでしたが、「SIMONDOLL 四谷シモン」(2014.05.31 四谷シモン他 求龍堂発行)と言う四谷シモンのレゾネが出ています。
この本はぜひ一冊は手元に置いておきたい本です。是非お求めになってください。
四谷シモン 本の表紙 2014年7月6日
四谷シモン 作者近影 2014年7月6日
四谷シモン サイン 2014年7月6日
「解剖学の少年」、「機械仕掛けの人形」、「機械仕掛けの少女」、「慎み深さのない人形」、「少女の人形」、 「少年の人形」、「目前の愛」、「未来と過去のイヴ」、「クウォジウルティマ」、「ナルシシズム」、他にも、「ピグマリオニスム・ナルシシズム」、「木枠でできた少女」など、面白い作品が沢山ありました。また、人形展覧会をしないかな。