氷川丸 2019年4月28日
氷川丸 (昭和5年(1930年)) 一等特別室ステンドグラス。
氷川丸は、横浜船渠(現三菱重工業横浜製作所)で建造され、1万トンの豪華貨客船でした。太平洋戦争中は病院船として、戦後は北太平洋航路で運航をしていました。
役目を終えた後は山下公園の特別桟橋に係留され当時を偲ぶ貴重な産業遺産として展示されています。2003年に横浜市有形文化財の指定を受け、2007年に経済産業省の近代化産業遺産として認定され、2016年には国の重要文化財(歴史資料)に指定されました。
うさお達には、開港記念日の花火大会に氷川丸の甲板で見たことくらいですか。横浜にいれば、氷川丸はよく見た景色の一つで、そんなに興味を引く処ではありませんでした。
小川三知のステンドグラスがあることを知るまでは。
パンフレットやガイドブックには、一等特別室にあるステンドグラスが、小川三知のものであると明記されていません。しかし、ステンドグラス研究家の田辺千代氏の「小川三知作品リスト」には載っています。田辺千代氏は御年77歳で、神奈川県の愛川町半原にお住いの方です。半原はうさおもキャンプによく出かけた道志の途中にある処です。
山下公園駐車場に車を止めて、さっそく氷川丸に行きましょう。目の前に「マリンタワー」があり、公園の中には、以前ライ隊員といったせせらぎがあります。
マリンタワー この日は改修中 2019年4月28日
山下公園のせせらぎ 2019年4月28日
氷川丸が見えてきた 2019年4月28日
昭和5年の最新鋭の豪華貨客船です 2019年4月28日
船尾の方 2019年4月28日
船に乗ってから入船料を払います 2019年4月28日
少し、ガイドブックの記述を参照しますね。
旅客定員は一等79名、ツーリストクラス(二等相当)69名、三等138名です。一等船客の客室はブリッジデッキとアッパーデッキの舷側に面して配置、ツーリストクラスはアッパーデッキ、三等はアッパーデッキとセカンドデッキにそれぞれ配置されました。冷温の流水設備は一等船客の各室に、サーモタンク会社設計の換気・電気暖房装置は全客室に設置されています。
当時の「シアトル航路の案内」では一般船客設備として、
「官設郵便局(氷川丸型に限る)、公衆用無線電信取扱所、写真現像用暗室、理髪所、手荷物庫、洗濯所、診療所、薬局、病室の設備は勿論、船内新聞の発行、映画、蓄音機を初め広濶なる甲板上には種々の遊戯道具が備へてありますから船中で無聊を感ずることはありません。」
と案内されており、最新鋭の貨客船就航の意気込みを示しています。
氷川丸の主要な部屋の装飾はアール・デコを基調としています。竣工当時のまま残された装飾を今でも見ることができます。内装設計は建造時にコンペを行い、多くの作品の中からフランスのマルク・シモン社を採用しました。
う~む、期待感満載だね。
確かに船内は、アールデコ調で、昭和初期の臭いがプンプンしています。ロビーが受付になっています。船室の天井は低いですね。
ここが受付です 2019年4月28日
ロビーには鯉のぼり 2019年4月28日
受付のお姉さん 2019年4月28日
重要文化財指定書と氷川丸の揮毫 2019年4月28日
氷川丸 船全体のイラスト
当日の切符
ロビーには、氷川丸にまつわるものが多く、掲示されておりました。
ふね遺産認定証 2019年4月28日
氷川丸を描いた絵 2019年4月28日
横濱船渠(三菱造船)No.177 プレート 2019年4月28日
1962.7.27海洋少年団全国大会開会式 2019年4月28日
上皇陛下の若かりし時のお姿 2019年4月28日
文豪ストレイドッグス 2019年4月28日
※横浜市とアニメ「文豪ストレイドッグス」(原作朝霧カフカ・春河 35)は謎解きゲーム「迷ヰ犬狂騒曲」でタイアップしている。 2019年4月6日(土)から5月26日(日)までの期間で、市内のチェックポイントを周遊して謎解きに挑戦。謎を解き明かした方に特製クリアファイルがプレゼントされる。
■周遊場所
アニメイト横浜ビブレ(キット販売場所)、神奈川近代文学館、大観覧車「コスモクロック21」、
日本郵船氷川丸
、横浜人形の家、マルイシティ横浜、市営地下鉄横浜駅、市営地下鉄桜木町駅
一等児童室に至る途中に、廊下にアルコーブがあって、その両脇に扉が四枚付いています。ここが一等客室です。わりに廊下は狭いです。
二等客室は今日の見学では入れなかった区分にあります。うさおたちはツーリストクラス:一般客ですので二等客室か三等客室だなあ。
一等客室の扉 2019年4月28日
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印から窓側を見ています 2019年4月28日
ここは最も昭和を感じさせるところでした。幼児を遊ばせる部屋で、一等食堂の入り口脇にあります。本革製の木馬と、天井の蟻壁長押に昔の児童雑誌に載っているような絵が貼ってあります。
とってもレトロです。
一等児童室看板 2019年4月28日
一等児童室室内 2019年4月28日
本革製の木馬 2019年4月28日
レトロな絵 母と少女 2019年4月28日
これらの絵は14枚程度で、代表的なものを示しました。残り14枚を見たい方は下のロゴをクリックして下さいね。
一等船客が使用できる食堂で、調度品も凝っているし、食器は銀製でした。船で使われる銀食器は陸で使われるものと比べると、2~3㎜ほど厚くて、隅々までよく磨かれていたそうです。
配膳用の棚も大きくしっかりとしたもので、重厚感があります。
一等食堂入り口 2019年4月28日
食卓 2019年4月28日
当時の盛り付けを再現 2019年4月28日
重厚な配膳棚 2019年4月28日
高価そうな銀食器 2019年4月28日
アールデコ調の大階段が一等食堂の前に聳え立ちます。写真では、スケール感が中々うまく捉えられません。
大階段 2019年4月28日
上から見た方が吹き抜けが判り易い 2019年4月28日
大階段を登りきると一等読書室があり、その先に一等社交室があります。社交室の室内は直線を基調としたアールデコ調で整えられています。グランドピアノがあり唄が流れ、酒も振る舞われ、ブルジョワジーの香りのする宴が毎夜繰り返されていたと思うと、羨ましい気がする。退廃的な怠惰感が漂う処は、うさおには向かない場所ですね。
デザイン的に優れた硝子扉 2019年4月28日
ロングドレスの歌姫が・・・ 2019年4月28日
照明の柄は 075旧東伏見邦英伯爵別邸のよう 2019年4月28日
アールデコ調の天井 2019年4月28日
南洋をイメージさせる絵画 2019年4月28日
柱の木彫も南洋を感じる 2019年4月28日
社交室を出ると、壁で守られたデッキに出ます。風が除けられるので、天候が勝れない日でも散歩が出来ます。
左側が海 2019年4月28日
燈は入っていませんがレトロな照明 2019年4月28日
Harbar view 一等ラウンジ 2019年4月28日
海水を遮断する堅牢な窓 2019年4月28日
一等社交室から結構離れたところに、この喫煙室はあります。中に入るとそこにステンドグラスが。 いやっ、少し趣が違うような。文献にも無いし、ここのステンドグラスは小川三知のものではないようです。いきなり出てきたので、ドキドキです。
一等喫煙室のステンドグラス 2019年4月28日
喫煙室の天井もアールデコ調 自然光を取り入れている? 2019年4月28日
椅子の並べ方がお洒落 2019年4月28日
時計がビス止めで船室っぽい 2019年4月28日
まあ、乗船費用によるヒエラルキーには厳然としたものがあり、一等以下は賤民の扱いです。一等客室ですと、提供される毛布の折り方(飾り方)も凝っていて、薔薇の花の形にするとか、クルーの技が光ります。
一等客室 2019年4月28日
ウンチっぽいけど薔薇の折り方の毛布 2019年4月28日
温水も使用でき当時の豪華ホテルのよう 2019年4月28日
さあ、待望の一等特別室です。秩父宮殿下やチャップリンが泊まられたことで有名です。小川三知の作品が見れると思うと、気分が高揚します。
おお、さすが、小川三知です。オウム、椿、藤、琵琶、いずれも日本画の手法を取り入れていて優美です。この部屋に泊まりたくなりますね。
一等特別室のロゴが 2019年4月28日
次の間付きで 2019年4月28日
小川三知 鸚鵡 2019年4月28日
小川三知 椿 2019年4月28日
小川三知 藤 2019年4月28日
小川三知 琵琶 2019年4月28日
小川三知 鸚鵡の番い 2019年4月28日
次の間と言うか応接室 2019年4月28日
見応えありましたね。中に入って観たかったな。やはり、賤民の出では無理かな。でも、小川三知が見たくて氷川丸に来たので満足です。乗船料はシニアで150円と安かったけど、駐車料金の方が掛かりましたね。
小川三知、観っちゃったからもう帰ってもいいんだけど、操舵室と船長室も見に行ってみましょう。室内から外に出ると陽光がまぶしくて、穴から出たモグラのような気持ち。
小さな街路のようなデッキ あの階段を昇ります 2019年4月28日
花火を見た甲板 2019年4月28日
操舵室の左舷 2019年4月28日
船鍾 2019年4月28日
操舵室の外に吊るされている半鐘は、船鍾と呼ばれているもので、時間を知らせるものでした。しかし、濃霧や嵐の中を港に入るときは、この半鐘を鳴らし他船に船の位置を伝えました。その時は号鍾と呼ばれたようです。時鍾は0時、4時、8時に、8点鍾を鳴らします。ルパンの世界だね。
操舵室内 2019年4月28日
操舵室はブリッジと呼ばれます 2019年4月28日
遠くまで見渡せます 2019年4月28日
伝声管だ! 2019年4月28日
エンジンテレグラフ 2019年4月28日
船長室は操舵室の真下にあります。船の賓客の対応もするため、内装も豪華にできています。船長のためのプライベートな浴室も備えています。
船長室2019年4月28日
伝声管はここに繋がっていた 2019年4月28日
ブリッジ下の回廊は、操舵室に合わせた曲面ですが、床も揺るかなむくりがついています。太鼓橋のようです。
ブリッジ下回廊 2019年4月28日
救命ボート 2019年4月28日
広いデッキ 2019年4月28日
船尾にある操舵装置 2019年4月28日
船尾の物置の窓の唐草模様 2019年4月28日
氷川丸から山下公園を望む 2019年4月28日
甲板より2層下の機関室に行ってみます。巨大なディーゼルエンジンが2基備わっています。
機関室の入り口より 2019年4月28日
ディーゼルエンジンの1基 2019年4月28日
船倉から甲板を望む 2019年4月28日
もう1基のエンジン 2019年4月28日
うさお達が御用達する客室です。この狭さは自宅とあまり変わらないなあ。機関室と、ギャレーの炊事機器の騒音と振動に苛まされていたと思うなあ。ここで、一カ月も二カ月も暮らすのは慣れが必要だなあ。300人の乗員に、15回分けて賄いをするので、60名の料理人が働いていました。
2段ベッドで4人の相部屋 2019年4月28日
客同士の仲たがいは最悪 2019年4月28日
ギャレ―配膳カウンター 2019年4月28日
結構楽しめました。船は固定されているので、揺れないからうさおには快適でしたね。桟橋の突堤には旧白灯台が残っていました。
お土産売り場で孫のお土産(ゴマアザラシ)を買って意気揚々と帰ってきました。
スクリューと言わずプロペラの説明 2019年4月28日
旧白灯台 2019年4月28日
赤丸枠内のお土産屋さん 2019年4月28日
土産店内部 2019年4月28日