読書評 「自然の法則
     人生が好転するニュートラルの魔法」

         Kengo・著/2026 年 KADOKAWA

  

                       Tomy jr.
《総評》
久しぶりに読んでいてゾクッとする本だった。宗教的な神秘体験やスピリチュアル色は無く、自らの経験や、よくある人生トピックスを例に挙げながら、淡々とそして堂々と仮説を展開している。「表裏一体」「Be-Do-Have」「合わせ鏡」「因果論と目的論」「お知らせ」「自作自演」「自分ルールの罠」「刺激で誤魔化す」「不幸のメリット」「本当の自分とは」「御利益も罰もない」「善も悪もない」「心から湧く感情とアタマが作り出す疑似感情」、著者はこれらのワードであらゆる人生の悩みをぶった斬る。
《構成と内容》
はじめに どこか無理をしている不自然なあなたへ
Step1 今までの人生は「から騒ぎ」だったと気づく
Step2 苦しみを感じきる人に「幸せ」は保証されている
Step3 目に映るすべてのものは「メッセージ」
Step4 なぜ「本音」で生きることをやめたのか?
Step5 この世界はあなたの存在を「歓迎」している
おわりに 自分とつながり世界とつながり直す
《著者プロフィール》
◆Kengo(けんご) 自然の法則研究家。学生のころから「自分とは何なのか」「人生とは何なのか」という根源的な問いに並々ならぬ関心を抱き、研究を続ける。目に見えない自分の内側と目に見える現実世界の関係性を実用的な形でまとめ、セミナーやYouTube で発信している。YouTube チャンネル登録者数は3.6 万人(2025 年12 月現在)。
《読書の経緯》
以前、「慣性の法則」や「作用反作用の法則」などニュートンの運動法則だったか、物理学の法則が人間社会においても同様に作用しているという主旨の本を読んだことがあって、面白かった。本書のタイトルを見てそのような内容ではないかと思って図書館で予約し半年以上かかってようやく借りる事が出来た。
《所感》
当たり前だが、表面と裏面は同じモノの両側であり、表面だけでも裏面だけでも存在出来ない。つまりこの世に存在するモノは全て「表裏一体」である。ここまでは良いとして、では一体どういうものが表裏一対になっているかといえば、「役に立つ自分/役に立たない自分」「カッコイイ自分/カッコ悪い自分」など、まさに正反対の要素が表裏一体を成しており、一方を否定すれば自らの存在を半分否定することになってしまうというから恐ろしい。
そして「合わせ鏡の法則」によって、我々は常に自分が持っているもう一方の面を見せつけられるのだという。一例として「ちゃんとすべき」と思っていると「平気でサボる人」が目につき、「自分を犠牲にしても他人に奉仕すべき」と思っていると「タダで良い思いをする人」が目につくなどである。それらは一見、自分とは正反対な人だと思うかもしれないが、実は裏を返せば自分と同じだということらしい。言い換えれば自分の後姿を見せられている事になる。

あと我々が生きていく上で認識すべきことは「目に見える世界」だけではなく「目に見えない世界」があるという事である。まあ、この世に現象として現れることが全てではないということは何となく分かっていたような気もする。自分の事にしても表向きは冷静に振舞っていても、心の中では激しい感情が渦巻いていることがあるので、他人や世の中の事象を見てもその裏にはきっと違う様相があるのだろうという程度の認識は持っていた。

そして我々は小さい頃から親や学校教育等で、他人に知られなくても悪事を働けば「お天道様は見ている」等と言われ、その報いとして必ず悪い結果になる「因果応報」という教育を受けてきた。しかし大人になる過程で、世間には悪事やズルをしてもそのまま得をする人がいたり、逆に正直者がバカを見たり、何の咎も無い人々が酷い眼に遭ったりする事例を数多く目にするため、それらは理想ではあっても必ずしも現実ではないのだと認識してきた。

しかしこの本によれば「目に見える世界」で因果論が成立しないのは、実は「目に見えない世界」にある「目的」が必ずスタートになっているからだという。因果だけでは説明がつかない事も、目に見えない「目的」を知れば、必ずその「目的」を果たす「結果」になっているのだという。治療やリハビリに励んで(原因)も回復しない(結果)場合、実は「退院して冷たい家族に会いたくない」という目に見えない「目的」があったりする場合などがそうだ。

これは「Be⇒Do⇒Have」の法則で、Be(あり方)がDo(やり方や行動)を生みHave(結果)を得るという意味だ。こう聞くと一見当たり前のようだが、我々は通常この逆を試みている。
つまり、豊か(Be)になるために、稼ごう(Do)とし、そのために学歴やスキルを身に着けよう(Have)とするだろう。その結果、あらゆる不安や焦燥が襲ってくる
が、まず自分はどうありたいか(Be)を知ることで何をすべきか(Do)が分かり必要な結果(Have)が得られるという。

ここで面白いのは“必要な結果(Have)”とは、必ずしも成功やうまく行く事ではないという点だ。失敗や挫折も、その人にとって“必要な結果(Have)”として受け容れるべきだとしている。この本で最もインパクトがあったのは、ここからだ。人生において失敗や挫折を体験した場合、「悔しい」「悲しい」「辛い」「苦しい」等のネガティブな感情もしっかり味わうべきだというのだ。
私は感情とは冷静な思考を妨げる余計なものとして排除しようとしていたのに...。

よく「ネガティブになるな、ポジティブであれ」と言われる。負けたらガックリしたりせず、すぐ切換えてポジティブになろうとする。しかし、この本に拠れば、避ければ避けるほど同じ種類のもっと大きな体験が何度も襲って来て最終的にドップリ味わうまでは終わらないというのだ。これは私自身の体験に照らしても何となく「確かにそうだ」と分かる。つまりその体験はその人にとって“必要な結果(Have)”だと認識すべきなのだろう。

本書で指す「自然の法則」とは、天体から原子まで物事は中心を軸に回転しており、私達人間も「本音(本当の自分)」を中心にして感情(心)、思考(頭)、身体がその周囲を取り巻いて回転し、うまくいったりいかなかったり様々な体験を通じて成長していく存在だとしている。ここで中心となる「本音」とは、不安や恐怖の無い「純粋な目的」や「意志」だという。(2026.10.7)