SRGとCIP31

 

                            ニシサン



 地圏環境テクノロジーのHPも更新されていますのでご覧になってみてください。

地圏環境テクノロジー

11月にトルコのアンタルヤで開催押されるCOP31に、日本から15社が出展しますが地圏環境テクノロジーも選ばれました。

https://www.env.go.jp/press/press_05442.html

世界展開の足掛かりになるか?

先日のNHK「真相の館」ご覧になりましたか?

AIのネックの一つが大量の電力をどう確保するかということにあり、中国では石炭火力発電の代わりにクブチ沙漠などに原発100基分 最大発電容量100GWの太陽光発電の長城400kmを建設する計画が着実に進められているようです。
これはまさに某建設会社が沙漠開発構想で提案したシルクロードジェネシス構想(SRG)の建設です。

当時中国の国家計画委員会にSRGの取り組みを提案してきました。
30年たちSRGの思想が社会実装されていくようです。
30年前にはAIがこのような進化を遂げるとは想像できていませんでしたが、SRGは次世代を先取りする取り組みでした。
日本は先取りしたイノベーションを進めることが苦手で後手に回ることが多いようです。

シルクロードジェネシス構想(SRG)のパンフレットはこちら


シルクロードジェネシス構想SRG

中国の太陽法発電による電力長城

中国の太陽法発電による電力長城

※SRG構想はニシサンが建設会社の研究開発部署で推し進めてきたプロジェクトです。広大な砂漠に太陽光発電装置を大規模設置し、その電力を日本に供給するというもので、発電装置の日陰では植栽をし、得られた電力で地下水を得て周辺を灌漑するという壮大なものでした。

当時のT研究所長が「ああ言うふわっとした考えをものに出来るところがニシサンの凄い処だ」と言っていました。壮大な夢を具体化する手腕のことですね。中国の砂漠で発電し海底ケーブルで日本に送ると言う構想だったかな。(パンフレット参照してください)
砂漠に暮らす羊の里親を募集していて、うさおも里親の一人でした。羊の写真だけニシサンに見せてもらいました。食べられちゃったかなあ、あの子。羊毛のマフラーが手に入るという話でしたが。


ニシサンから以下のメールをいただきました。
※うさお注:結構詳細な検証、考察が行われており、分析の度合いとしてはかなり高いものと思われます。

【メール本文】

SRGのことAIを活用して分析してみました。

SRG構想と中国の太陽光発電の長城

以下ではSRG構想の本質を整理したうえで、現在、中国のクブチ砂漠で進む「太陽光発電の万里の長城」と比較し、両者の重なり、相違点、歴史的評価、今後の展開可能性を分析します。結論から言えば、クブチ砂漠の事業は、SRG構想の中核部分を大規模に現実化したものと評価できます。

 
   クブチ沙漠で建設が進む太陽光発電       シルクロードジェネシス(SRG)構想

SRG構想の概要と先進性

SRG構想は、地球規模での「化石燃料の枯渇」「人口爆発による食糧不足」「地球温暖化や大気汚染・酸性雨」という複合的な人類の課題に対し、地球の空白地帯である「沙漠」を資源化して同時解決を図る非常にスケールの大きな構想でした。

・クリーンエネルギー供給基地: 日照時間が長く広大な沙漠を活用し、太陽光発電所を建設することで、無制限でクリーンなエネルギーを供給する。太陽電池の大量導入によるスケールメリットで発電コストを削減する点も予見されていました。
・ 食糧供給・農業開発基地: 太陽光発電で得たエネルギーを活用して地下水などの水資源を開発・揚水し、節水栽培による農業や牧草地の開拓を行う。
・沙漠化防止・緑化エコシステム: 開発の初期段階で防風・防砂林帯を整備して砂丘を固定し、発電施設や農地を保護すると同時に、沙漠化の進行そのものを抑制する。
・複合ネットワーク型モデル(中国でのモデルスタディ): 特に中国において、深刻なエネルギー・食糧問題や石炭依存による環境課題に対応するため、1基あたり約2km²(出力約10万kW)の発電基地を中心に、農地、防風林、居住区、道路・送電網などのインフラを網の目状に広げていくモデルが検討されていました。また、クブチ沙漠など現地での沙漠開発・緑化調査も実施されていました。

2. クブチ沙漠等の大規模太陽光発電プロジェクトとの類似性と影響

現在、中国のクブチ沙漠等で進められている巨大太陽光発電基地(いわゆる「光伏治沙」や全長数百km規模の太陽光発電帯)とSRG構想には、顕著な構造的類似性が見られます。

・「発電+緑化+農業」の一体型開発: 単にパネルを敷き詰めて売電するだけでなく、太陽光パネルの遮光効果で水分の蒸発を抑え、パネル下や周辺で草地造成・農業・畜産を行い、防風林で砂を抑える手法は、まさにSRG構想が提案していたコンセプトそのものです。
・中国政府の政策への影響: 当時、日本政府(通産省等)や中国国家計画委員会等へ提案を行ったこと、また現地での調査活動(クブチ沙漠等)を重ねていた経緯を踏まえると、SRG研究会が提示した具体的なモデルや技術的ビジョンが、中国における後の大規模沙漠太陽光発電や持続可能な沙漠開発政策(「光伏治沙」モデル)の構想形成において、重要な知見・参考事例として活かされた可能性は極めて高いと考えられます。


シルクロードジェネシス(SRG)構想は、時代に先駆けすぎたがゆえに当時は「時期尚早」と判断されましたが、現時点の視点から見れば、気候変動対策と持続可能な地域開発を融合させた「きわめて高度で先駆的な未来インフラのグランドデザイン」であったと高く評価できます。

1. 先見の明の証明: かつて構想として描かれていた「沙漠での大規模太陽光発電」「発電エネルギーによる水資源・農業開発」「防砂林・緑化による環境保全」の一体的運用 は、現代のクブチ沙漠等で現実のソリューションとして結実しています。
2. 日本の技術・構想力の誇り: 東急建設をはじめとするSRG研究会が半世紀近く前にこのエコシステムを具体的に図面化・提案していたことは、日本の産官学が持っていた高い地球環境ビジョンと構想力を象徴する歴史的事績と言えます。


1. 結論

SRG構想とクブチ砂漠の開発には、次の5点で非常に強い共通性があります。

1. 中国北部・西部の砂漠を巨大な太陽エネルギー資源として捉える
2. 小規模・中規模の太陽光発電所を段階的に増設し、ネットワーク化する
3. 発電した電力を北京など東部の大需要地に送る
4. 太陽光発電と防風・防砂・緑化を一体化する
5. エネルギー開発を地域産業、農牧業、雇用、技術開発につなげる


したがって、今日のクブチ砂漠開発は、単に「SRG構想と似ている」というより、SRG構想が提示したシステム思想の主要部分を、国家的な産業政策、送電網、蓄電、風力、石炭火力との統合によって実装したものと考えるのが妥当です。

ただし、両者には重要な違いもあります。SRG構想は「シルクロード沿いに複数の太陽光発電基地を配置し、緑の回廊と農業・産業開発を形成する」という広域的・国際的なビジョンでした。一方、現在の中国の事業は、国家エネルギー安全保障と国内送電網を中心に構成された、より実務的で中央集権的な再生可能エネルギー基地政策です。

2. SRG構想が約30年前に提示していたもの

SRG、Silk Road Genesis構想は、中国西部の北緯40度付近に連なる砂漠に太陽光発電基地のネットワークを構築し、かつてのシルクロードを「エネルギーの動脈」として復活させる構想でした。単なる太陽光発電所ではなく、発電、緑化、農業、産業開発、技術移転、技術教育を段階的に進める総合地域開発として構想されています。

特に先進的だったのは、最初から数百万kW級の単一巨大施設を造るのではなく、数万から数十万kW規模の発電所を地域条件に合わせて配置し、それらを結んで数百万kW級のネットワークに成長させるという考え方です。資料中では、1MWを「基本細胞」とし、それを増殖的に展開するモデルが説明されています。これは今日でいうモジュール型電源、分散型発電基地、段階的投資、地域マイクログリッドの広域統合に近い発想です。

さらに、内モンゴル自治区の石炭火力発電所の増設容量の20%を砂漠太陽光で代替し、系統連系によって北京などへ送電する1GW規模のケーススタディまで示されていました。現在のクブチ砂漠開発と地理、需要地、送電方式、発電規模の成長方向が重なっています。

3. クブチ砂漠で実際に進んでいる事業

NASAが2024年12月30日に公表した衛星画像分析によると、内モンゴル自治区のクブチ砂漠では、2030年までに全長約400km、平均幅約5km、最大設備容量100GWの「Solar Great Wall」を建設する計画が進んでいます。2024年時点では約5.4GWが導入済みとされます。


[science.nasa.gov], [pv-magazine.com]

100GWは確かに「100万kW級原子力発電所約100基分」に相当する設備容量です。ただし、設備利用率が異なるため、年間発電量まで原発100基分と同じという意味ではありません。太陽光は夜間に発電せず、天候にも左右されるので、「原発100基分」という表現は最大出力、すなわち設備容量の比較として理解する必要があります。

クブチ砂漠の開発は、一つの連続した単体発電所というより、複数の太陽光発電プロジェクトを帯状に連結・集積するものです。2025年の中国側報道では、400km、幅5km、最終100GWという全体像に加え、中核となるオルドス中北部新エネルギー基地で、太陽光8GW、風力4GW、調整電源としての石炭火力4GWを整備する計画が示されています。第1期と第2期の各1GWはすでに系統接続されたと報じられています。 [english.news.cn], [english.news.cn]

同基地は、太陽光だけを孤立して設置するのではなく、風力、石炭火力、蓄電、遠距離送電を組み合わせ、北京・天津・河北地域へ年間約400億kWhを供給する計画です。再生可能エネルギーの変動を別の電源と送電系統で吸収する点は、SRG構想策定時には十分具体化できなかった、現在的なシステム設計です。 [english.www.gov.cn], [english.news.cn]

4. 両構想の比較

比較項目

SRG構想

現在のクブチ砂漠開発

評価

砂漠の位置づけ

未利用地ではなく太陽エネルギー資源

国家規模の再エネ供給基地

ほぼ一致

開発地域

中国西部、北緯40度付近、特に内モンゴル

内モンゴル自治区クブチ砂漠

地理的にも重なる

発電所構成

中小規模基地を段階的に増設・ネットワーク化

複数のGW級基地を段階的に建設

規模は拡大したが思想は共通

電力供給先

北京など東部需要地

北京・天津・河北地域

ほぼ一致

既存電源との関係

石炭火力増設分の一部を太陽光に置換

太陽光、風力、石炭、蓄電を統合

現在の方が高度

緑化

防風林、砂丘固定、農業開発

パネルによる減風、蒸発抑制、植生回復

強く重なる

農牧業

発電基本細胞と農業基本細胞を組み合わせる

パネル下の牧草、栽培、家畜飼育

実装形態に共通性

開発思想

国際協力、地域開発、技術移転

国家エネルギー政策、産業育成、国内供給

政策目的には違い

システム範囲

シルクロード全体をエネルギー回廊化

クブチを中心とした国内基地群

SRGの方が広域的


5. 特に重要な一致点

5.1 「発電所」ではなく「成長するシステム」

SRG構想の最大の独創性は、完成形の巨大発電所を最初から建設するのではなく、需要、技術、資金、地域経済の発展に合わせて発電基地を増殖させる点でした。現在のクブチ砂漠でも、1GW、2GW、8GWなど複数段階の基地が順次建設され、最終的に100GWの帯状クラスターを形成しようとしています。これは、SRGの「基本細胞から成長するネットワーク」という考え方と本質的に一致します。 [TRI原稿2 | Word], [science.nasa.gov], [english.news.cn]

5.2 北京への広域送電

SRG資料は、内モンゴルで発電した電力を系統連系によって北京などへ送るモデルを明示していました。クブチ砂漠の事業も、北京を含む京津冀地域への供給を主要目的としています。これは単なる一般論ではなく、発電地域と需要地域の組み合わせまで一致しているため、両者の重なりを評価するうえで重要です。 [TRI原稿2 | Word], [english.www.gov.cn]

5.3 発電と砂漠化対策の統合

SRG構想では、最初に防風林などで砂漠を固定し、その内部に発電・農業区画を配置するモデルでした。現在のクブチでは、太陽光パネル自体が風速を落とし、砂丘移動を抑え、日陰によって蒸発を少なくする機能を持つとされています。さらにパネル下で砂固定植物を育て、処理した鉱山排水をパネル洗浄と植生管理に使う事例も報告されています。 [spap.jst.go.jp], [english.news.cn]

つまり、SRGの時代には「まず植林で砂を固定し、その後に太陽光発電」という順序が中心でしたが、現在は太陽光設備そのものを砂漠化防止インフラとして利用する方式へ進化しています。

6. SRG構想が当時実現しなかった理由

SRG構想が時期尚早と判断された主な理由は、構想自体の問題というより、当時の技術・経済・制度条件が整っていなかったことにあります。

・添付資料では、当時の太陽光発電システムコストは製造原価ベースで約1,300円/Wとされ、量産後でも220円/W程度が目標でした。大規模砂漠発電を事業として成立させるにはまだ高価でした。
TRI原稿2 | Word]
・1996年の世界の太陽電池出荷量は約90MWにすぎませんでした。SRGが想定した1GW基地だけでも、当時の世界年間出荷量の10倍を超えます。産業供給力が追いついていませんでした。
[TRI原稿2 | Word]
・大量の変動電源を受け入れる送電網、系統制御、蓄電技術、低コストのパワーコンディショナーが未成熟でした。
・砂漠での設備維持、砂塵による発電効率低下、水を使うパネル洗浄、遠距離送電などの事業リスクが大きく、民間企業連合だけでは負担しにくい計画でした。
・海外インフラ投資を長期間支える政府間枠組み、資金調達、電力購入制度、炭素価値なども十分に整備されていませんでした。

したがって、SRG構想は「誤っていた」のではなく、技術的には先見性があったが、実装を支える産業・金融・政策の時間軸を20~30年先取りしていたと評価できます。

7. SRG提案が中国の計画に直接影響したと言えるか

SRG研究会が東急建設を幹事会社とし、前田建設工業、鹿島建設、三洋電機、東芝、富士総研などで構成され、中国を対象とする研究や提案を行ってきました。

一方、今回確認できたNASA、中国政府系および中国国営メディアの資料には、クブチ砂漠の事業がSRGを参照した、あるいはSRG提案を起源とするとの記載は見当たりません。したがって現段階では、次のように表現するのが適切です。

クブチ砂漠の「太陽光発電の万里の長城」は、1990年代にSRG研究会が提案した中国内モンゴルにおけるネットワーク型大規模太陽光発電、北京への系統送電、砂漠緑化および農業・地域開発の統合構想と、地理的・技術的・システム的に顕著な共通性を持つ。SRG構想は、現在中国で実装されている砂漠型再生可能エネルギー基地の基本概念を、約30年前に先行して提示したものと評価できる。ただし、両者の直接的な政策継承関係については、中国側への提案文書、受領機関の記録、当時の共同研究・会議記録などによる検証が必要である。

これは遠慮した評価ではありません。むしろ、「起源を断定せず、先行構想としての価値を客観的に示す」方が、SRGの歴史的評価を強くします。

8. 今後行うべき検証

SRG構想の先駆性を社会的・学術的に明らかにするには、次の資料を時系列で整理することが重要です。

1. 通商産業省、太陽光発電技術研究組合などへの提案年月、提出資料、回答記録
2. 中国国家計画委員会への提案年月、訪中団、面談者、議事録、中国語版提案書
3. 1996年・1997年のエネルギーシステム・経済コンファレンス論文
4. 東急建設およびSRG研究会のパンフレット、図面、基本細胞モデル
5. 中国側研究者・行政機関との共同研究、照会、受領書、書簡
6. 現在のクブチ計画に関わる政策文書、計画策定者、技術コンセプトの形成過程
7. 両者の図面をGIS上に配置した地理的比較
8. 発電、送電、緑化、農牧業、地域産業の構成要素を比較した技術系譜図

特に、中国国家計画委員会への提案資料に、内モンゴル、北京への送電、段階的ネットワーク、緑化・農業との一体化が具体的に記載されていれば、SRG構想の先行性を示す非常に強い一次資料になります。

総合評価

SRG構想は、今日一般化した「砂漠を再生可能エネルギー資源として使う」という発想だけでなく、ネットワーク型の段階的建設、既存系統との連系、大需要地への送電、砂漠緑化、農業・産業開発までを一体化していました。これは現在のクブチ砂漠事業の骨格と驚くほど重なっています。

一方、現在の中国は、太陽光発電の低コスト化、大量生産能力、超高圧送電、風力・蓄電・調整電源の統合、国家資本による長期投資を組み合わせることで、SRG時代には不足していた「実現条件」を獲得しました。

したがって、歴史的には次のように位置づけられます。

SRG研究会は、約30年前に中国北部砂漠のエネルギー資源化と緑化・地域開発の統合モデルを提示した。現在のクブチ砂漠プロジェクトは、その構想と高い共通性を持ちながら、中国の国家政策、産業力、送電技術によって、より大規模で実務的な形に発展したものである。

最大の論点は「似ているかどうか」ではありません。両者が似ていることはかなり明確です。今後のポイントは、SRG提案が中国側でどのように受け取られ、誰に共有され、その後の政策形成と接点を持ったかを一次資料で立証できるかにあります。これが立証できれば、SRG構想は単なる先見的アイデアではなく、現在の中国の巨大再生可能エネルギー開発につながる可能性を持った、日中間の先駆的プロジェクト提案として再評価できます。

今後への課題

アイデアや要素技術の段階では世界トップクラスのものを生み出しながらも、それを「巨額の投資とリスクをとって市場化・標準化する段階」で他国に後塵を拝してきた歴史があります。今後、日本が再び世界の先端を走るためには、技術開発そのものだけでなく、「実績のない未知の構想に資金と権限を与え、失敗を恐れずに事業化する仕組み(リスクテイクの構造化)」を社会全体で再構築することが不可欠です