広島の四季再発見 ④ yuko

   



広島の四季再発見(宮島)

うさおさん、Caccoさん、広島へようこそ!
広島の四季…などといいながら、まったく鳴かず飛ばずの体たらく…お許しください。

 さて、広島は今年被爆から80周年を迎え、いろいろな意味で節目の年を迎えました。
前回…いつのことか…宮島を紹介しますなどと大口をたたき、その後音沙汰無しだなんて、本当にお恥ずかしい限りです。
戦後、そして被爆80年を経た今年、広島県は初めての女性知事が誕生しました。
私は前知事が好きだったので、少し残念ですが、変化なくして進化なしかななどと思っています。
そういえば、首相も女性になりましたが、今年の原爆の日、意外に思ったことがあります。
それは80回目の平和記念式典でのこと、元首相の石破さんのあいさつです。
石破さんは、平和公園の国民学校教師と子どもの碑に刻まれた正田篠枝さんの短歌、

 太き骨は先生ならむそのそばに小さきあたまの骨あつまれり

を引用されたのです。今までの首相のあいさつは、通り一遍のものが多く、あらかじめ秘書などの手によるものかなと、思ったものでしたが、今年の首相のあいさつは、この短歌を2度繰り返され、今まであまり好意的に思っていなかった石破さんへのイメージが、ずいぶん変わったと感じました。

     
                引用は碑の歌原爆忌  ゆうこ

 さて、本題の宮島です。
宮島はご存知のように、島全体が神の島であり、広島市民にとってはまさに憩の場です。
もちろん厳島神社は世界遺産でもあるので、世界中から多くの観光客の訪れる島でもあります。
昔ながらの風景ももちろん素晴らしく、フェリーを降りてすぐに出迎えてくれる鹿や、厳島神社への表参道は、変わらず宮島を訪れた人にワクワク感を与えてくれるのです。
この王道である、厳島神社までの数分間を楽しむのももちろん良いのですが、宮島には、表参道を少し離れた町屋通りなどに、おしゃれなカフェがあったり、あまり知られていない物語があったりと、お伝えしたいことも満載なので、今回はそういったことにスポットをあてて、広島の四季再発見とさせていただきます。

 いざ宮島へ
JR宮島口駅で降りて、宮島行きフェリーに乗り宮島まではほんの10分弱。その10分間で私達は何ともいえない、神さまの島に行くのだ…という高揚感を味わいます。
あ…その前に、広島・宮島といえば「あなごめし」で有名な「うえの」は、このJR宮島口駅を出て、フェリー乗り場に行く間にあります。

     
        駅弁「あなご弁当」から広まったという、うえののあなごめし

宮島に渡ってもいろいろな店であなごめしは提供されていますが、やはりうえのが一番と皆いいます。
(実は私は穴子やうなぎが苦手で…すみません~)
この「うえの」の2階に「他人𠮷(たにきち)」という店があり、ここでは予約すればゆっくりとうえののあなごめしを味わうこともできますよ。
また、私の好きな古本カフェ「shop epilo(エピロ)」もうえのの敷地内にあるので、探してみてくださいね。

 さて、お腹がいっぱいになったところで、うえのを出てすぐの宮島口旅客ターミナルへ向かいましょう。
5分ごとにJRと松大汽船のフェリーが運航していますが、どちらに乗っても同じです。
さあ、10分間の船旅です。
瀬戸内海は穏やかで、きっと快適な船旅(あっという間ではありますが)になるでしょう。少し先に朱の大鳥居が見えると、いよいよ宮島だと嬉しくなります。

     
  時間によっては、大鳥居の下まで歩いて行けるのですよ(少し古い写真ですみません)

宮島桟橋に着くと、鹿たちが出迎えてくれます。
宮島の鹿は、餌を与えてはいけない…と言われているので、奈良の鹿のようにお腹が満たされておらず少し痩せていて、私はいつも鹿に代わって抗議したくなります。鹿煎餅売ってよ~と。
でも、島内に暮らす人と動物との共存のためには、これも仕方ないことかもしれません。
表参道には、昔ながらのお店に、昔ながらの「もみじ饅頭」や「しゃもじ」などの宮島土産が並びます。
少し異色ですが、この表参道にスターバックスがあります。外観も内装も宮島にマッチしていて、街中のスタバとは少しイメージが違いますよ。

     
             瀬戸内海を眺めながらスタバのコーヒーを

 この表参道から、一本山手に入った通りが町屋通りです。
町屋通りは、宮島に住む方の家やお店の並ぶ通りで、最近ではおしゃれなカフェやレストランがあり、若い人にも人気となっています。
もちろん、古い建物をそのまま使っているカフェなど、なかなか趣きのある店に出会えるのも、町屋通りならではの楽しさです。
また、この町屋通りには、家々にさまざまな工夫を凝らした献燈が掲げてあり、それを観るのも面白いですよ。
可愛い絵や、絵文字の献燈は、宮島を訪れる人を歓迎するためと聞きました。
宮島には薄れつつある、おもてなしの心が今なお根付いているように思います。

       

              献燈に町屋の趣向花万朶  ゆうこ

 宮島は四季折々の楽しみ方があるのですが、春は桜、秋は紅葉と春と秋には特別な美しさがあり、観光客で賑わいます。
宮島というと神の島ということもあり、島全体が神聖なものと思われるでしょうが、一時期花街となっていたことをご存知でしょうか。江戸時代のことですけれど。
その遊廓は町屋通りにあり、たくさんの置屋があったものと思われます。宮島にとっては、きっとあまり公にしたくない史実でしょうが、遊女好きな私にとっては、遊女にまつわるさまざまな物語が胸に残ります。
その一つが、「遊女の石畳」
弥山の参道は険しくて、容易に歩ける道ではなかったのを、遊女たちが寄進して作ったという石畳が残っています。
趣のある石畳ですが、洪水などにより今はその場所まで上ることが出来ないようです。
でも遊女たちの気っ風の良さを物語っているようで、私はロマンを感じるのです。

      

             冬もみぢ遊女気風の石畳   ゆうこ

 今年の春吟行句会があり、その句会場となったのが宮島まちづくり交流センターだったのですが、ちょうど3月ということで、宮島の町屋のそれぞれで雛人形の展示があり、この交流センターに入ったところの階段にも、ちょうど雛段のように雛人形が飾られていました。交流センターの建物もとてもしゃれていて、中に入ると美術館のような感じで絵画や焼き物が展示されていました。紅葉谷のすぐ近くなので、立ち寄って見られるのも良いですよ。
また、交流センターを少し上がったところに、「天心閣」という古民家を利用したカフェがあります。高台なので景色もよく、あまり知られていないカフェなのでゆっくりと寛げると思います。

      
               まちづくり交流センター入り口

ここから少し高台に上がる道があり、カフェ「天心閣」があります。
 宮島散策を楽しんで、さてお土産を…表参道にもたくさんお土産を売っているのですが、宮島のお土産はもみじ饅頭!?
はい、もちろんもみじ饅頭も美味しいのですが、私のお勧めは「宮島御砂焼」お好み焼きではありませんよ。厳島神社の御砂を混ぜて作る焼物です。
ちょっと萩焼に似た感じですが、「消えずの火灰釉キャンドルホルダー」、宮島弥山の消えずの火のように、炎が美しく映えるキャンドルホルダーなど、新しい感覚のものもあります。ぜひお土産に加えていただきたい、と別に宮島御砂焼の窯元の手先ではありませんが、力説してしまいます。

     
           絶対に買いに行こうと思っているキャンドルホルダー

     
              私の宮島御砂焼…お気に入りです

 私なりの宮島をご案内しましたが、厳島神社・大鳥居などよく知られた所はもちろん、結構穴場もあるのです。町屋通りを歩くと、意外なところに可愛いお店を見つけたり、昔ながらの風情を感じられたり、楽しめると思います。広島にいらっしゃったときには、宮島に寄って探してみてくださいね。


ゆうこさんの近況
   俳句結社のホームページを作成するついでに、
   放ったらかしだった、自分のホームページで以前書いた小説(短編・掌編)を
   ちまちまとアップしています。
   年を取ったら(今もじゅうぶん年取ってますが)のんびりと自分の書いた小説を
   自分で読むことが夢なので、こんな風に残すのもよいかなと思っています。
   お暇なとき、覗いてみてくださいませ~

     https://sakae23.wixsite.com/my-site