横浜指路教会  2019年10月4日



 関内駅と桜木町駅間に、指路教会が建っています。この辺りは尾上町と言い、親父が子供頃に遊んでいた処です。親父は日本大通の横浜公園寄りに住んでいました。(※祖父:014 益田廣岱伝参照のこと
 親父が通っていた本町小学校は、横浜市の新庁舎が現在建設中の地域にありました。(※121 横浜市新市庁舎遺構発掘参照のこと)なので指路教会は目と鼻の処でした。
 本町小学校は関東大震災で壊滅したので、野毛山の麓に移転しました。(※073 高島嘉右衛門考参照のこと
 指路教会は関東大震災により、明治の時代に造られた建物は崩壊しました。親父は関東大震災にあった時は神奈川工業高校の学生で、帰路の途中だったそうで街路樹に掴まって、揺れが収まるのを待ったと言います。周りの建物が次々と崩壊していく中、良く助かったものです。
 このことから、親父は崩壊前の指路教会を見ていたことになります。


明治42年 指路教会 「写真で見る横浜市の130年」より

 指路教会のサイトの教会の沿革を見てみましょう。
 「アメリカ長老教会から派遣された宣教医J.C.ヘボン(James Curtis Hepburn)が日本にキリスト教を伝道する志を持って夫人とともに来日したのは、1859年(安政6年)10月のことでした。 やがてヘボン塾で勉強していた青年たちを中心にして、教会設立の気運が起こり、1874年(明治7年)9月13日、アメリカ長老教会の宣教師ヘンリー・ルーミスを初代牧師として設立されたのが当教会です。
 教会は最初の横浜居住地39番から、現在地、太田町、住吉町を経て1892年(明治25年)再び現在地に戻り、ヘボンの尽力により赤レンガの教会堂が建てられました。その時ヘボンの母教会の名"Shiloh Church" をいただいて指路教会としました。「シロ」は旧約聖書において、「平和を来らす者」すなわちメシヤを示す意味、および古い時代の聖なる町の両方に用いられています。
 1923年9月関東大震災によって教会堂が倒壊したのち現在の教会堂が再建されましたが、1945年5月の横浜大空襲によって内部が全焼しました。その後も幾多の厳しい事態に直面しながらも、いつもキリストのみ言葉と信仰によって、今日まで伝道の使命を果たしてきました。
2000年12月には、創立125周年記念事業の一つとしてスイス/マティス社のパイプオルガンが設置されました。
 現在も、長老教会の伝統を重んじつつ、「イエス・キリストの福音が正しく語られ、誠実に聞かれる」教会でありつづけることを求めて進んでおります。」



関東大震災で崩壊する以前の指路教会 サイトより

 これが崩壊前の教会で煉瓦建ですね、これは見ておきたかったなあ。

 親父の時代を表している指路教会の内部を見てみたい思っていました。
 地元に住んでいると何時でも行けると思っちゃうので、なかなか行く機会がないんですね。
 でも、Caccoが、こんな催しがあるよって教えてくれました。 

「横浜音祭り2019」
パイプオルガンと横浜の街
YOKOHAMA MINATO MIRAI HALL ORGAN COLLECTION 2019
2019年9月27日(金)-10月27日(日)


当日のパンフレットより、指路教会での演奏演目

 オルガンふれあい ヨコハマ街歩き
 日本で初めてパイプオルガンが設置されたのが横浜。19世紀末には横浜の地に国産のオルガン製作所(西川オルガン)もできました。そんな深いゆかりがある横浜には今も市内のコンサートホールやミッションスクール、教会などにたくさんのパイプオルガンが設置されています。普段はなかなか聴くことのできないこれらの個性的なオルガンを巡り、それぞれの音色を聴き比べながら、横浜の街の魅力も見つけるコンサートシリーズです。 
 横浜みなとみらいホール オルガン・コレクション ディレクター:三浦はつみ

【主催】 横浜みなとみらいホール(公益財団法人横浜市芸術文化振興財団)
【共催】 横浜アーツフェスティバル実行委員会
【協力】 横浜みなとみらいホール(公益財団法人横浜市芸術文化振興財団)、神奈川県民ホール(公益財団法人神奈川芸術文化財団)、フェリス女学院大学音楽学部、横浜アンデレ教会、日本基督教団紅葉坂教会、横浜指路教会、横浜英和学院


 おお、いいじゃん、いいじゃん。パイプオルガンのあるホールを、順繰りに回って演奏するらしい。

 早速、10月4日(指路教会の日)に行きましたよ。

 教会に近い馬車道の駐車場に、車を停めて急いではせ参じます。


横浜指路教会 見えてきたぞ! 2019年10月4日

 あれ、誰も並んでいない。油断をして、ちょっと2、3分、道路工事の交通整理の人と話していたら、何時の間にか長蛇の列。いかん。すぐに並ばなきゃ。外観は意外にシンプルです。


横浜指路教会 あっ、もう並んでいる 2019年10月4日

横浜指路教会 窓回りなどは昔に似せています 2019年10月4日

横浜指路教会 旧字の表札 2019年10月4日

横浜指路教会 礼拝開始の鐘 2019年10月4日

横浜指路教会 続々と入っていきます 2019年10月4日

横浜指路教会 バラ窓を背に記念にパチリ 2019年10月4日

 横浜音祭り2019の案内板がありました。礼拝堂の内部はこんな感じです。
 意外とあっさりとした外観と同様にシンプルな空間です。


横浜指路教会 横浜音祭り 2019年10月4日

横浜指路教会 礼拝堂正面 2019年10月4日

横浜指路教会 礼拝堂の南側 2019年10月4日

横浜指路教会 ステンドグラスなど無くシンプル 2019年10月4日

横浜指路教会 バルコニー下の席 2019年10月4日

 ミサの時に幼児が騒ぐ時があるかもしれません。その為の幼児室があり、ガラス窓越しに講壇を見ることができ、拡声器で講話が聞けるようになっています。


横浜指路教会 幼児室 2019年10月4日

横浜指路教会 幼児室にも長椅子が用意されている 2019年10月4日

 パイプオルガンは礼拝堂の背後に設えています。早速二階に行ってみました。


横浜指路教会 二階席からパイプオルガンを望む 2019年10月4日

横浜指路教会 二階から見た講壇 2019年10月4日

横浜指路教会 平民たちを見下ろすような気分 えへへ 2019年10月4日

 演台と逆方向、つまりホールの背面に、パイプオルガンは設えてあります。見えているパイプはこんな数ですが、背面には千本近くのパイプが隠れている筈です。億単位のお値段ですからね。空調が効きすぎて寒いくらいです。当日は10月でしたが、暑かったのです。


横浜指路教会 堂々としたパイプオルガン 2019年10月4日

横浜指路教会 皆さん興味津々 2019年10月4日

横浜指路教会 キーボードとストップレバー 2019年10月4日

横浜指路教会 皆さん携帯電話でパチリ 2019年10月4日

横浜指路教会 演奏者と演奏助手を待つ 2019年10月4日

横浜指路教会 マニアの方でしょうか 2019年10月4日

 演奏は、アマンダ・モールさん。ちょっと太めですが美人さんです。その傍にアシスタントのお痩せな日本女性が一人付いています。楽譜をめくったり、オルガンのスライダーやストップレバーの操作のお手伝いをしています。二人掛りの演奏も楽じゃないなあ。
 残念ながら演奏者の写真はありません。

 演奏が始まると、荘厳な音が鳴り響き、空調の寒さも気になりません。慣れない音楽なので、どこが楽節の切れ目なのか良く分りません。曲が終わったのかどうかが判らないので、皆さんが拍手をする時に合わせて、一拍遅れて拍手をしていたのは、うさおです。

 震災後に竹中工務店の設計・施工により、大正15年に現在の建物が造られました。SRC構造の3階建です。SRC造とは鉄骨、鉄筋コンクリート造のことを言います。鉄骨をくるむようにし、鉄筋コンクリートを巻き立てるので、耐震性能に優れています。1932年にリベットから溶接に施工法令が変わります。指路教会に用いられた鉄骨はリベットで接合されていますね、これも近くで見てみたいなあ。
 1923年の関東大震災直前の1922年に、建築家渡辺節と内藤多仲らは日本興業銀行本店の設計に、このSRC構造を取り入れます。竣工後半年程で、日本興業銀行本店は震災を受けますが、ほとんど無傷だったそうで、この時代からSRC造が多くなったそうです。
 竹中工務店は地震から建物を守るために、この構造を取り入れたのでしょう。

 礼拝堂の天井部はシンプルで、鉄骨の梁が2本現れています。ステンドグラスなんて無いんだぞ。


横浜指路教会 この鉄骨が屋根を支えている? 2019年10月4日

横浜指路教会 大空間には美観的に邪魔な鉄骨 2019年10月4日

 教会の階段室は、武骨な鉄製階段が上階へと伸びています。この階段って、何か雰囲気が横浜市開港記念会館の屋上に登る階段に似ています。


横浜指路教会 武骨にも見える階段 2019年10月4日

横浜指路教会 結構スケルトンで怖い 2019年10月4日

横浜指路教会 すごく急だし 2019年10月4日

 横浜市開港記念会館の階段と比べてみましょう。2003年の時には屋上まで入れてくれました。


横浜市開港記念会館 あっ、全然似ていないか 2003年11月3日


横浜市開港記念会館 急な階段ってだけでした 2003年11月3日


 指路教会の入り口上部のバラ窓の内部からの写真、青年室と呼ばれる部屋にありますが、こんなに大きく外部に面しているため、夏冬は外気の影響が大きいでしょうね。
 
教会のサイト情報では、教会玄関のバラ窓の12枚の花びらは、イエスの12人の弟子を表しているのだそうです。


横浜指路教会 バラ窓内部 2019年10月4日

 ヘボンさんは、ヘップバーンって読むんでしたね。どちらの発音が、元の名前の表音に近いのでしょうね。ヘボン式ローマ字とオードリー・ヘプバーンの二つが、別々なものだとインプットされているので、違和感があるんですね。指路教会はヘボン夫人が中心になって造ったって聞いていたけど、沿革には書かれていない。この噂は誰に教わったんだろうな。

 夜のライトアップも綺麗だそうです。とにかく、指路教会の礼拝堂が見れてうさおは大満足です。


横浜指路教会 夜の開放日の案内 2019年10月4日

横浜指路教会 満足なうさお 2019年10月4日



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