スピーカーの音  2018年8月23日



 オーディオ装置ってマニアックな香りがふんだんにしますね。N岡さんやM上さんのお持ちの装置は、ちょいと庶民が持てるものではない.。
 だけど、この余人では持てないところがマニアっぽいんですね。
うさおが子供の頃に友達の家に行くと、重厚な電蓄(電気蓄音機)をお持ちの家がありました。時には、手回しの蓄音機のお宅もありました。
 うらやましかったですね。どんな音が鳴るんだろうって、興味津々でした。

 
127日比谷公会堂・法務省の項で、日比谷公会堂内のアーカイブ・カフェにて、手回し蓄音機の本領を聞くことになります。カフェは大変響きのある空間でしたが、竹針の滑らかな再現音の威力を知りました。針を尖らせる専用の鋏もあることを知りました。


日比谷公会堂 アーカイブ・カフェ 手回し蓄音機 2016年3月3日

 78回転のレコード盤ですよ。当時の電蓄はvictor、columbiaが二大勢力だったと思います。両社とも、音楽配信などの技術革新のなか、未だに存続しているのが凄い。
 
 その後60年くらいの年月で、オーディオは目覚ましい発展をします。放送局やスタジオでの技術が、民生用に普及し音響機器が充実していきました。それとともにマニアも増大し、商品も高級志向になりました。


余談
TRIO
 大学生時代に全盛だった音響機器メーカー。うさおは会社でアマチュア無線の資格を取り、買ったリグがTRIO製。M上さん,K池さん、I原さんもハム仲間でしたが、やはりインターネットの普及により、アマチュア無線は一握りのマニア向けになりました。確か、QSLカードも作った記憶がありますが、交信記録を送付した記憶はありません。
PIONEER
 当時からスピーカーには定評がありましたが、買ったことはありません。
山水
 大学に入りお小遣いで山水のコンポを買いました。スピーカーの木枠フレームが気に入ったのかも。自宅は木造の家なのに目一杯のボリュームを上げ、ご近所の顰蹙を買いました。
 
 入社して数年後、M上さんからsonyのプリメインとチューナーを貰いました。
 うっ?、それまでのスピーカーにつないでみたら、えらい音質が良くなりました。アンプは最新のソリッドステーツ(トランジスター、ダイオード製品の総称)だったし、管球式より特性の歪がなく頭打ちもない感じでした。(この機種は有名な機種で評価が高く、スペック、値段とも破格でした。また、後世になるとトランジスターの優等生ぶりは味が無いと批判されることが多く、管球式に復古する様になりました)



 http://history-of-stereo.com/12-sony.htmlより

 しかし、機器を変えただけで、同じスピーカーから出る音が変わるのは不思議でした。
 大学では、建築音響を学びましたので、電気音響はあまり良く分りませんが、機器の微妙なスペックの差で、聴いた感じがなぜ変わるんだろう。音は人間の脳で再構成されることは分かっています。
 今まで育ってきた音の記憶(データベース)の違いで、音楽的に素養のある人と無い人に分かれるとすると、うさおは明らかに後者のほうだ。しかし好ましい音は学ばなくともわかります。だからと言って、それだけでは説明がつかないな。

  

なぜ音質が変わるんだ!

※会社に入って直後に使った計測器は、B&K(デンマーク製)の世界標準品の高価なものでしたが、管球式であり、マイクの差し替え時に、軽い電気ショックがきて、その作業がとても嫌でした。

 音楽ホールやスタジオも、室内音響設計は基本的には60年くらい前と変わりません。でも、音を生み出す側の人は、さらにより良い空間を求めて、室内仕上げや機材を変革させています。



浮き構造で外部の音はシャット・アウト 2018年8月23日

 VICTORスタジオでは、毎年どこかのスタジオをリニューアルして、新しい機材や設備を変え、スタジオマンの感性に沿うようにしています。機器開発者のK岡さんの伝手で、スタジオマンの聞き取りを行った時に、面白かったのは、演奏者によっては昔の管球式イコライザーやミキシング装置を使いたいという希望がまだあるそうで、それらの機材やマイクなどをメンテナンスしながら、ちゃんと保管していることです。こだわりの世界って凄いな。
 

ビクタースタジオのパンフレットより 2003年12月26日

余談
 当時の音楽スタジオ用の日本のスピーカーメーカーは、三菱(diatone)、ヤマハが主流で、外国だとJBL、tannoy、goodmanでしたかね。室内音響設計から離れていった時代には、UREIてのもありましたね、アルテックのスピーカーを組み込んで、JBL4343のようなタフで、なまじの入力ミスでは飛ばないスピーカーだったような。でも、クラシック向きじゃないと思うよ。IMEGEスタジオのMA室に組み込まれたのを見ましたが、とてもアメリカっぽい音でしたよって、どんな音だい?(一人突っ込み)

 それから10年くらい過ぎると、プロオーディオの世界が変わります。日本の音楽ホールでは、使われている音響機材は日本製ですが、ハウスオーディオのスピーカーは日本メーカーが少なくなりました。
 屋外イベントでは、BOSE、エレクトロボイス、ターボサウンドなどが台頭してきました。VICTORはJVS、PANASONICはRAMZAとブランドが変わって、安価なプロ機器が出てきます。画期的だったのは、YAMAHAからDSPが売り出されたことです。
 Digital Sound Field Processorの略で、ドルビーシステムに対抗するサラウンド効果を狙うものでした。室内音響設計者たちが着目したのは、YAMAHAが実在ホールの音場データを組み込み、音楽ホール13種類の音場再生ができる能力でした。しかも、自分たちの取得したデータも組み込むことが出来ました。清水建設の技術研究所で試作機的なYAMAHAのDSP(600万円くらいと聞きましたが)を見て羨ましかったことを覚えています。その後廉価版のDSP-1が出てきます。13万円くらいのお値段でした。おおっ。



DSP-1 https://audio-heritage.jp/YAMAHA/etc/dsp-1.htmlより

 閑話休題、N岡さんからオーディオ見に来ないとお誘いがあり、大挙して押しかける予定でしたが、当日はM上さんと出かけました。


平塚の駅 2018年8月23日

小振りな高麗山が望める 2018年8月23日

 N岡さんが駅前でお出迎えしてくれ、近くの高麗山に案内してくれました。小振りに見えた山は意外に急峻で、展望台の上に行くまでにぜいぜいしていました。うさおは痩せなくちゃなあ。


お出迎え、N岡さん 2018年8月23日

高麗山、駐車場からまだ歩く 2018年8月23日

杉原惣治郎先生顕頌碑 2018年8月23日

高麗山頂上から 2018年8月23日

 N岡さん邸に到着。リスニングルームの床の板張りは、聴取者にとって縦張りになっています。スピーカー背面に斫り仕上のコンクリート壁があります。
 置いてあるピアノは、ベーゼンドルファー。よくスタインウェイとベーゼンドルファーの音質の違いが話題になります。二つ並べて聞き比べたことはありませんが、スタインウェイが、明るく軽い音で、ベーゼンドルファーが重厚な音だと評されています。うさおはピアノを弾いたことがないし、ピアノの中に首を突っ込んだことはありませんが、言われてみるとそんな感じがしてきます。
 ヤマハの音響研究所のK上さんとは近しかったので、何度か研究所に遊びに行きました。ピアノ工場の敷地内にあり、作業工程を見せてもらいました。
 屋外に積まれている木材が、ピアノの原材料、マホガニーと松材です。木を何十年もかけて乾燥させ、狂いが出ないように養生がされています。それらで側板や響板を作っていきます。張り合わせまでは機械が作業していますが、最後の鍵盤やハンマーの調整は人間が行っていました。(途中細かい工程があったのですが、ほとんど忘れてしまいました)
 調整する人の中には、外国の人もいましたね。絶対音感と感性の優れた人が携わっているんでしょうね。


スピーカーの音 N岡さんのリスニングルーム 2018年8月23日

スピーカーの音 デジタル・チャンネル・ディバイダー 2018年8月23日

スピーカーの音 オーディオ機器 2018年8月23日

 この日、M上さんから、重量レコードの情報を教えてもらいました。確かに昔のレコード盤は長年保管しておくと、反りや歪みが発生して正常な音が再生できないものもありました。当時、レコード盤の保管方法について、横積みか縦置きかで議論がされていましたね。
 重量レコードは、それらの変状が盤に生じさせないように、強度を上げ重量化してあるのだとか、納得ですね。
 レコードの再生時に、レコード盤の上に重しを置くことも、マニアの間では流行っています。重量物を乗せることで反りや歪を抑える役目があるのでしょう。
 吃驚なのは、CD、レコードの再生音から、この二人がスタジオ録音かステージ録音かを聞き分けてしまうことでした。理由は残響音の付き方から、判断していました。音響を生業としていたうさおより、弁別能力が高いじゃん。


試行錯誤をしながら機器の設定をしている二人 2018年8月23日

 今のうさおは、パソコンにつないだSONYの音を聞いています。Bluetoothで飛ばせるやつさ!う~ん、これで十分かなあ、最近音楽聞いてないし。
Bluetoothは通信規格。パソコンの中で葬式饅頭のような、アイコンがあればそれがそうです。家の車にも、搭載されていて、これから出かけようとするときに急に音楽が鳴って吃驚することがあります。そういう時は倅が近くに来ていて、倅のスマホに反応しているときです。アッ、倅が来たってすぐ判るので便利だね。


うさおの仕事ヤード

愛用しているSONY ワイヤレスポータブルスピーカー



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