逸見浄水場・汐入地下壕・横須賀中央公園 2016年6月1日
○逸見浄水場
広報よこすかで、横須賀市水道局の逸見浄水場の見学会があることを知りました。ここには帝国海軍の浄水場跡が残っています。行きたいぞ。caccoに頼んで、申込みハガキを出して貰いました。
すると見事に6月1日の10時半の見学会が当たりました。
逸見駅に降り立ちます。時間はたっぷりあるので近くを散策します。鹿島神社です。ここで軽くハムサンドなどを食べていたら時間が無くなりました。あれれ・・・・。
caccoが電車から見つけた古い住宅に興味を持ち、撮りに行きます。時間が無いよ。急な坂道のふもとに、水道局の制服を着た女性が待っています。水道局の廣川さんです。
逸見浄水場 2016年6月1日 逸見駅周辺の銅板葺の家屋
逸見浄水場 2016年6月1日 銅板葺家屋の近接写真
逸見浄水場 2016年6月1日 鹿島神社
逸見浄水場 2016年6月1日 鹿島神社
逸見浄水場 2016年6月1日 鹿島神社の回廊の彫もの 滝に鯉らしい
逸見浄水場 2016年6月1日 枯れ蔦に覆われた廃墟?
男性が3人ほど私たちより前に、集まっていました。手には駒沢給水塔の写真入りのレジメを持たれていました。caccoは以前に駒沢給水塔を見に行ったことがあるので、大興奮で話し掛けに行きます。
この方々は駒沢給水塔風景資産保存会の新庄副代表さんと渡辺幹事さんでした。もう一人の方は、やはり同好の徒の方らしくて、廣川さんともお知り合いのようにも見えました。
保存会の方の話を聞くと、この時期、全国水道週間の時期なのだそうで、各自治体は水道施設の見学会が行うのが慣例だそうですが、パリのテロ事件以来、これらの見学会は自粛の傾向にあり、駒沢給水塔の見学も、東京オリンピックが終わるまで開催されないのだとか。
それまでは年1回は行われていたそうで、がっかりする私たち。保存会の会員にさせて頂ければ、見学のチャンスがあるとcaccoは目を輝かしました。
急な坂道から水道局の敷地なのだそうで、この坂道は年寄りには危険だと思われたのか、水道局の車で頂上の浄水場まで送ってくれます。対応が丁寧です。
逸見浄水場 2016年6月1日 息つくような坂道 標識の下に市の職員さんが待っています
逸見浄水場 2016年6月1日 浄水場の入り口
逸見浄水場 2016年6月1日
浄水場の銘板
頂いたパンフレットによると、日露戦争以後、軍備拡張のため、旧帝国海軍は相模川の支流の中津川の半原から取水し、約500m離れた旧半原水源地(愛甲郡愛川町)の沈澱池(9,900m3×4池)で簡易処理した後、内径500mmの鋳鉄管で旧逸見浄水場まで送られていました。
標高差が68mもあったので、53km間を自然流下で送水しました。旧逸見浄水場でろ過した水は、隣接の配水池から市内に給水していましたが、施設の老朽化や原水水質の変化などが生じ、平成27年2月28日に廃止されました。ってことは、つい去年の話ですね。ここは逸見総合管理センターになりました。
逸見総合管理センターの入り口にあるモニュメント、提携する市の銘板が貼られています。案内は池上さんがされました。
逸見浄水場 2016年6月1日 逸見総合管理センター 水道の蛇口をイメージしている
逸見浄水場 2016年6月1日 センター前のモニュメント
逸見浄水場 2016年6月1日 愛甲郡、綾瀬市、横須賀市、厚木市、海老名市、鎌倉市、逗子市が対象
逸見浄水場 2016年6月1日 館内のベンチュリーメーター
逸見浄水場 2016年6月1日 非常用貯水槽の模型
逸見浄水場 2016年6月1日 色々な種類の水道管
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中央管理室(パンフレットより)
横須賀の水道水は浄水されて、ポンプ所・配水池を通って各家庭に届きます。横須賀市内には配水池が27池、ポンプ所が17か所あります。この管理室では、すべての浄水場、配水池及びポンプ所の制御や監視をしています。
逸見浄水場 2016年6月1日
廊下より管理室を望む
逸見浄水場 2016年6月1日
総合管理センター
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水質分析室(パンフレットより)
市民に安心・安全な水を届けるために、大腸菌、金属、有機物、放射性物質など150を超える項目を検査して、水質管理をしています。
逸見浄水場 2016年6月1日 水質管理の相原さん
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ベンチュリーメーター室(パンフレットより)
イギリス製のベンチュリーメーター(流量計)が設置された平屋の施設です。逸見と半原とに、ベンチュリーメーターがあり、横須賀へ送る原水の流量を量っていました。
逸見浄水場 2016年6月1日 ベンチュリーメーター室外観
逸見浄水場 2016年6月1日 ベンチュリーメーター
逸見浄水場 2016年6月1日 ベンチュリーメーター室の床下
逸見浄水場 2016年6月1日
覗き込むとそこに大正時代からの配管がある
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緩速ろ過池調整室(パンフレットより)
緩速ろ過池の脇に、4棟の調整室があり建設当時のものです。当時は原水を浄水する際に、ろ速(ろ過する速度)を調整する役目がありました。海軍の設計だと言いますが、矩形の建物で、装飾が施されており、何やらメダリオン的なものも見受けられます。コンクリート製かと思いましたが鉄鋼框の構造です。
逸見浄水場 2016年6月1日
水源地からの[着水井]
逸見浄水場 2016年6月1日
緩速ろ過池と緩速ろ過池調整室
逸見浄水場 2016年6月1日 緩速ろ過池調整室
逸見浄水場 2016年6月1日
今は廃止となった緩速ろ過池
逸見浄水場 2016年6月1日 緩速ろ過池の調整弁
逸見浄水場 2016年6月1日
緩速ろ過池の半原からの原水の配水管
逸見浄水場 2016年6月1日
緩速ろ過池調整室外観
逸見浄水場 2016年6月1日
緩速ろ過池調整室 鉄骨フレーム
逸見浄水場 2016年6月1日緩速ろ過池調整室内観
逸見浄水場 2016年6月1日
緩速ろ過池調整室 大正四年のもの
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配水池入口(パンフレットより)
台地のような配水池の南北に、セセッション様式の配水池入口棟があります。これも海軍の設計だとか。その脇にあった、煉瓦作りの管の蓋には、海軍のマークがついていました。
逸見浄水場 2016年6月1日 配水池
逸見浄水場 2016年6月1日
配水池入口と右手の配水池
逸見浄水場 2016年6月1日 配水池入口
逸見浄水場 2016年6月1日
配水池入口付近にあった煉瓦桝の残骸
逸見浄水場 2016年6月1日 蓋には海軍の刻印がある
逸見浄水場 2016年6月1日
反対側の配水池入口 こっちも見に行きたかった
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過去の遺物
この浄水場に昔あったものが、庭に展示されていました。
逸見浄水場 2016年6月1日
配水池の壁に開けられた不思議な穴 カルキ抜きだそうだが
逸見浄水場 2016年6月1日
過去の遺物
逸見浄水場 2016年6月1日
過去の遺物
逸見浄水場 2016年6月1日
過去の遺物 大天部ポンプ
逸見浄水場 2016年6月1日
過去の遺物 逸見高区ポンプ
逸見浄水場 2016年6月1日
過去の遺物 小口径シールドマシンと鋼製セグメント
逸見浄水場 2016年6月1日
過去の遺物 共同水道栓 竜頭栓水飲み
逸見浄水場 2016年6月1日
過去の遺物
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海軍境界石
歩いて坂を下りていくと、笹薮の中に海軍の境界石がありました。この辺りを探索すると、多くの境界石が見つかるとのことです。
逸見浄水場 2016年6月1日 海軍境界石
坂を降り切ると、また保存会の方々と遭遇いたしました。駒沢給水塔が見学できるようになったら、是非、情報を頂けると良いなあ。
そんな思いを抱いて、魚河岸料理田沼に入り大きなまぐろメンチを頂きました。
逸見浄水場 2016年6月1日
田沼にてまぐろメンチ定食
逸見浄水場 2016年6月1日
田沼の名刺
○汐入地下壕跡
ついでなので、地下壕跡が残っているという汐入に行ってみました。
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横須賀海軍工廠汐入壕
駅のすぐそばに壕があります。東京瓦斯が使っているので、シャッターの前には駐車禁止となっているのに、邪魔な車が止まっています。全景がきれいに撮れないじゃないか。
汐入地下壕 2016年6月1日
汐入地下壕 2016年6月1日
その並びの崖に多くの壕口が有った筈なのに、崖の崩壊抑止工事が行われており、ほとんどがコンクリートで覆われていました。それでも、外れにあった2つの壕は見つかるも、壕口はコンクリートで覆われていました。もう一か所は草に覆われていましたが、穴の部分がありました。残念ながら写真にはうまく写りません。
汐入地下壕 2016年6月1日
汐入地下壕 2016年6月1日
汐入地下壕 2016年6月1日 見えにくいが葉の裏側に結構大きな壕があります
さらに路地を進んでいくと、関東大震災の慰霊碑がありました。この日の裏の崖に、地下壕の入り口があります。入口は土砂で埋もれていますが、中は広くて地下壕としては完全な形で残されているのだとか。そのサイトでは、中に錆びた機関銃があったと記述されていました。本当だろうか。戦時中の工場だったと言われています。実はこの辺りは、見どころ満載の所でした。
すぐそばに入っていけるほど、大きな地下壕があったんだって、興奮して目が泳いでて判らなかったなあ。
汐入地下壕 2016年6月1日 関東大震災慰霊碑
汐入地下壕 2016年6月1日 慰霊碑裏の地下工場入口
汐入地下壕 2016年6月1日
入口から中を覗いてみる
次に行ったのは、多分防空壕であろう所、あまりにも暑い中を延々歩いたので、caccoの自制心が切れて、こんな所は自動車で来るべきなのよって怒ってました。確かに2か所程度は残っていましたが、土嚢で埋められていてなんだこりゃの感じでした。
汐入防空壕 2016年6月1日 土嚢で埋められている まだ入れるのかな
汐入防空壕 2016年6月1日
コンクリートで埋められている
横須賀中央までは歩いていくことにしました。すると途中に防空壕の跡がありました。
汐入防空壕 2016年6月1日 横須賀中央に向かう道すがら 駐車場の奥のベニヤ板のところ
汐入防空壕 2016年6月1日 残念ながら内部は写らなかった 熱心なcacco
○横須賀中央公園
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月印喫茶店
横須賀中央に行ったらどうしても入りたい喫茶店があるとのこと、「月印」と言うんだそうで結構探すのに苦労しました。お店の中は撮ってはいけないと言われましたので、写真はありません。
店内には、片桐仁さんのお姉さんではないかと思われるほど似ている店員さんがいました。
横須賀中央公園 2016年6月1日
喫茶店「月印」
横須賀中央公園 2016年6月1日
喫茶店「月印」の前にある料亭?
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横須賀市文化会館
横須賀中央公園までは、バスに乗っていきました。ここは米ヶ浜砲台跡です。caccoがずいぶん前から行きたがっておりました。公園の西側に横須賀市自然・人文博物館、横須賀市文化会館があります。恐竜の骨があって面白かったよとは、一人で入ったcaccoの弁です。
横須賀中央公園 2016年6月1日 横須賀市文化会館の庭の銅像 自由の女神像
横須賀中央公園 2016年6月1日
横須賀市文化会館の内部 マンモスの骨格標本?
横須賀中央公園 2016年6月1日
横須賀市文化会館の内部
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横須賀中央公園
戦没者慰霊塔や、核廃絶のモニュメントや、デッカー司令官の像もありましたが、何しろ早く砲台跡を見たいぞ。
遺構の前にあるフェンスが邪魔だけど、地下壕跡だ。第一砲台と第二砲台があったらしい。28cm榴弾砲4門の演習砲台として使われていたようです。
横須賀中央公園 2016年6月1日 平和のモニュメント
横須賀中央公園 2016年6月1日
慰霊碑
横須賀中央公園 2016年6月1日
デッカー司令官像
横須賀中央公園 2016年6月1日
岩野泡鳴 田戸の海ぬしの歌碑
掩蔽部2か所が並んでいる。大分土に埋っているが、これは掩蔽部の入り口の頭の部分、半分のものらしい。28cm榴弾砲4門の演習砲台だったそうな。当時の写真を下のwebから拝借です。
(出典不明 引用:http://yakumo1100.blog.fc2.com/blog-entry-265.html )
在りし日の米ヶ浜砲台 左端に監視所が見える その下に地下壕 右側は倉庫の壕か
米ヶ浜砲台 砲撃の演習風景 「日本の要塞」gakkenより
米ヶ浜砲台 練習風景 知られざる軍都東京より
今はどうなっているかを見てみましょう。
横須賀中央公園 2016年6月1日
息を切らせて、丘を登りきるとこの光景が
横須賀中央公園 2016年6月1日 見難いけどフェンスの向こうに地下壕の上部が見えます
横須賀中央公園 2016年6月1日 地下壕は二つ並んでいます
米ヶ浜砲台 地下壕 知られざる軍都東京より
横須賀中央公園 2016年6月1日 この方角が見やすい
横須賀中央公園 2016年6月1日 下に落ちているのは煉瓦です
横須賀中央公園 2016年6月1日 何で埋めちゃったんでしょうね
横須賀中央公園 2016年6月1日 カンナの羽があって見難いがもう一つの壕があります
横須賀中央公園 2016年6月1日 この階段を登ると観測所、広場に至ります
これは観測所かな。コンクリートの台の上に登ると、あたり良く見渡せる。
その脇の壕の上には、換気のための緑色の屋根部が残っている。夏島にもあったやつですね。うさおがクイズに外れたやつ。
横須賀中央公園 2016年6月1日 着弾点を見定める監視所かな
横須賀中央公園 2016年6月1日 換気孔 2連です
横須賀中央公園 2016年6月1日 換気孔 側面より
横須賀中央公園 2016年6月1日 手前にある換気孔
隙間は結構空いています
横須賀中央公園 2016年6月1日
土塁上部の広場 レンガの構造物があったと言われています
今度は階段の右側にある地下壕を見てみます。石は後から張り付けられていたものらしく、はがれた後は掩蔽壕の躯体のコンクリートが覗いていました。
横須賀中央公園 2016年6月1日 右側の地下壕は石が貼られています
米ヶ浜砲台 地下壕 知られざる軍都東京より
横須賀中央公園 2016年6月1日
土塁の頂部に残る地下壕の躯体
横須賀中央公園 2016年6月1日
石が所々剥がれ、コンクリートの躯体が見えています
横須賀中央公園 2016年6月1日 すっかり公園の一部です
横須賀中央公園 2016年6月1日 隅角部はやはり、石が落ちやすいですね
横須賀中央公園 2016年6月1日 軍事遺構につきものの猫ちゃんです
横須賀中央公園 2016年6月1日 ワンちゃんもさよならね
〇追補
逸見の浄水場の遺構 2017年1月14日
逸見の浄水場の日本帝国海軍時代の旧施設の遺構があることは知っていました。地図で調べてみると、逸見東部町内会館の脇の道を通るって行くと、存在することが判りました。途中に立ち入りを阻止するような門扉がないことを願いながら、行ってみることにしました。
なるほど、ここは立ち入るのが嫌になるくらいの急坂で、綱島公園地下壕の時の急坂並でした。二人とも死ぬ思いで登りました。死んじゃいそうでした。
逸見の浄水場の遺構 浄水場はこちらの看板があります 2017年1月14日
逸見の浄水場の遺構 この急坂です 2017年1月14日
逸見の浄水場の遺構 ここだ、ここだ 2017年1月14日
逸見の浄水場の遺構 ここです 2017年1月14日
逸見の浄水場の遺構 扉は新しいけど、昔の浄水場の壁跡です 2017年1月14日
逸見の浄水場の遺構 ここにも何かあります 2017年1月14日
逸見の浄水場の遺構 覗いてみるとこんな感じで新しい壁が見えます 2017年1月14日
逸見の浄水場の遺構 お墓の入り口のようだ 2017年1月14日
横須賀の海軍水道の遺構 2017年1月14日
JR横須賀駅の近辺には、帝国海軍の水道施設の一部が展示されています。ウェルシティ公園の中に残っています。
また、JR横須賀駅の中にも、水道栓の遺構が残っていました。
横須賀の海軍水道の遺構 ウェルシティの前の公園 2017年1月14日
横須賀の海軍水道の遺構 消火栓 2017年1月14日
横須賀の海軍水道の遺構 鋳鉄管がごろごろしている 2017年1月14日
横須賀の海軍水道の遺構 ここにも2個あるぞ 2017年1月14日
横須賀の海軍水道の遺構 大正5年と蓋に海軍マークがあります 2017年1月14日
横須賀の海軍水道の遺構 2017年1月14日
横須賀の海軍水道の遺構 ここにも消火栓 2017年1月14日
横須賀の海軍水道の遺構 2017年1月14日
横須賀の海軍水道の遺構 JR横須賀駅 2017年1月14日
横須賀の海軍水道の遺構 停車場に残る消火栓 2017年1月14日
横須賀の海軍水道の遺構 留置線に残された消火栓 2017年1月14日
横須賀の海軍水道の遺構 軌道内に残っていた煉瓦の塊 2017年1月14日