奈良刑務所  2016年9月9日


 奈良刑務所は、100年ほど前の明治41年(1908年)に建設されたもので、千葉刑務所と同様に山下啓次郎氏が設計されました。山下氏はジャズピアニスト・山下洋輔さんの祖父です。ここは「奈良監獄」と呼ばれ、長崎、千葉、金沢、鹿児島を合わせて「明治の五大監獄」と称されています。
 この前、2015年11月15日に千葉刑務所の見学に行きました。
 しかし、奈良刑務所は老朽化のため、今年度末で閉鎖されるのだそうで、法務省は再活用の方策を練っているそうです。今現在は、奈良少年刑務所として用いられ、10万6千平方メートルの広さがあります。

 奈良少年刑務所の建物はドーム屋根をもつ煉瓦門や煉瓦庁舎(5棟が放射状に広がる舎房)があります。うさおは日本建築学会の通達の中で下の記事を見つけ、そのスタイルの優美さに引き付けられ、五大監獄ツアーを目論むのでした。
(嘘です、2009年に明治村で金沢監獄の門跡を見たのですが、ほとんど興味がなく、写真も2枚しか残っていませんでした。)五大監獄のうち、長崎監獄は2007年くらいまでは煉瓦建物が残っていたのですが、長崎市の財政難のため、取り壊され門しか残っていません。鹿児島監獄も門だけだと聞いています。千葉監獄は門と庁舎はありますが、放射状の舎房は残っていません。

日本建築学会も建物の保存を考えており、その要望書は学会の各委員会に通達され、以下のようなものでした。

「                                        2015 年6 月10 日
法務大臣 上 川 陽 子 殿
                                  一般社団法人 日本建築学会
                                         会 長 中 島 正 愛

           奈良少年刑務所の保存活用に関する要望書

 拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
 平素より、本会の活動につきましてご理解とご協力を賜り、厚くお礼を申し上げます。
 さて、奈良少年刑務所については移転の計画もあるように仄聞いたしております。
 本会では以前より我が国近代建築の調査研究を行い、その成果を『日本近代建築総覧』にまとめ、1980(昭和55)年に刊行しております。その中で本建築は価値高い近代建築として記されておりますことはご高承のことと存じます。
 本建築は欧米水準の行刑施設を建設するという明治初年からの懸案を実現すべく、1901(明治34)年に起工し、1908(明治41)年に竣工を見たものであります。大アーチとドームによって印象的な外観を見せる表門をはじめとして諸施設の意匠は非常に優れています。それと同時に、欧米によく学んだ施設の構成はこの時点の日本の刑務施設の最高水準を示しており、しかも建設当初からほとんどその様態を変えておりません。その建築的価値は別紙「見解」に記されたとおり、近代日本の歴史的建築資産としてきわめて高く、かけがえのない存在であります。
 貴下におかれましては、この貴重な建物の持つ高い文化的意義と歴史的価値についてあらためてご理解いただき、本建築の保存活用を図るための方途を積極的にご検討下さるよう、お願い申し上げる次第です。
 なお、本会はこの建築の保存活用に関して、学術的観点からのご相談をお受けいたします。
                                               敬具



        平井直樹氏撮影

 どこが千葉刑務所と異なるのか、対比して欲しいとのcaccoの要求がありますので、あまりにもそっくりなので、見わけが付きにくいかもしれませんが極力お見せします。千葉刑務所は赤色のキャンプションです。


奈良刑務所 丘の上に刑務所の煉瓦塀が見える 2016年9月9日

奈良刑務所 ずいぶん早く行ったのに1時間以上並ばされた 2016年9月9日

奈良刑務所 待っている間、煉瓦の刻印を探していたが判らなかった 2016年9月9日

奈良刑務所 正門の佇まい 2016年9月9日

奈良刑務所 正門の煉瓦が大変よく映えている 2016年9月9日


●千葉刑務所の正門 屋根はよく似ているが、その他は微妙に違います 2015年11月15日

奈良刑務所 正門の裏側 2016年9月9日

奈良刑務所 正門の裏側を遠方より望む 2016年9月9日

●千葉刑務所の正門裏 千葉の方が少し小さいのかな 2015年11月15日

奈良刑務所 施設見学整理券 2016年9月9日

●これは千葉刑務所の入門証  2015年11月15日

奈良刑務所 アーチと明り取りの窓のデザイン 2016年9月9日

●千葉刑務所のアーチと明り取りのデザイン 2015年11月15日

奈良刑務所 正門の裏のアーチ 2016年9月9日

●千葉刑務所の正門の裏のアーチ 2015年11月15日


奈良刑務所 正門の丸屋根 2016年9月9日

奈良刑務所 正門の側面を望む  2015年11月15日

 矯正展に出展された販売品を見て回ります。


奈良刑務所 矯正展の展示コーナー 2016年9月9日

奈良刑務所 ここでcaccoはあろうことか、重いお米やマットを買いました 2016年9月9日

マスコットキャラと記念撮影をしたかったけど、当日はうだるような暑さ、マスコット君は今にも倒れそうになって退場してしまいました。


奈良刑務所 足元もおぼつかなく休息に帰るしかまろ君? 2016年9月9日)

●千葉刑務所の人KENあゆみちゃん 2015年11月15日

奈良刑務所 管理棟の全景 庭が狭くて全部が収まる画像は撮れません 2016年9月9日

千葉刑務所の管理棟 全然デザインが異なるのに同じに見える? 2015年11月15日

奈良刑務所 管理棟の中央屋根 2016年9月9日

奈良刑務所 管理棟の端の屋根 2016年9月9日

奈良刑務所 管理棟奥の屋根、放射状の舎房の屋根か 2016年9月9日

奈良刑務所 脱獄防止の電線 2016年9月9日

●千葉刑務所の脱獄防止の電線  2015年11月15日

 山下氏の設計は、管理棟の背後に5本の指のように舎房が存在することです。千葉の刑務所は取り壊されて普通の工場に変わっていました。奈良の刑務所はちゃんと残っていましたが、どうなるのか判りません。



奈良刑務所 展示されてあった放射状の舎房の写真 2016年9月9日

●千葉刑務所の舎房は放射状だったが現存せず (2015年11月15日)

奈良刑務所 googleより 俯瞰写真 背後の5棟の舎房が見える 2016年9月9日

奈良刑務所 皆さんがお休み処として使っていた用途不明の階段 2016年9月9日

奈良刑務所 管理棟正面玄関 2016年9月9日

奈良刑務所 玄関内部 2016年9月9日

奈良刑務所 刑務所外壁 2016年9月9日

奈良刑務所 壁内側の監視所 壁の凹み 2016年9月9日

奈良刑務所 外壁 遠ざかる人影 2016年9月9日

●千葉刑務所の外壁 2015年11月15日

 2017年8月26日の朝日新聞に、ドローンによる上空からの写真が載っていました。


奈良刑務所 朝日新聞記事 2017年8月26日


旧奈良市水道計量器室 (東之阪町) 建築年代:1920(大正9)年頃
 奈良市の水道創設時に建てられた、煉瓦造りの小さな建物で、幾何学的なデザインが施されていることで有名で、「水」の字をあしらったデザインも見どころの一つです。奈良刑務所の近くの遺構として、caccoが見つけてきました。
 産業遺産として管理されていますが、設計者、施工会社等は不明です。


旧奈良市水道計量器室  2016年9月9日

旧奈良市水道計量器室  2016年9月9日

旧奈良市水道計量器室  2016年9月9日

旧奈良市水道計量器室  2016年9月9日

 
ここの真向かいには、北山十八間戸があります。鎌倉時代につくられたハンセン病などの不治の病(当時は)の患者を救済するためのお助け小屋です。大変立派なもので、西大寺の忍性によってつくられたと言われています。国の史跡に指定されています。てっきり、お互いが撮ったと思い込んでいたため、こんなへっぽこな写真しか取れていませんでした。


北山十八間戸 右手の瓦葺きの長屋がそうです 2016年9月9日

北山十八間戸 白漆喰の長屋 2016年9月9日


京阪電車・東福寺変電所 建築年:1920年代(大正末期)
 これも、設計、施工は判りません。構造はRC造で鉄骨屋根の部分もあります。
 単線のJR奈良線に乗って京都から、奈良に向かう東福寺駅のすぐ近くに、この変電所はあります。 ここは、近代産業遺産登録されている建物で、結構有名なものらしいです。
 電車の中から、撮影しましたのでこんな感じにしか撮れませんでした。横着をしないで、この駅で降りて撮影に行かないと良いものは撮れないね。


東福寺変電所  2016年9月9日

東福寺変電所  2016年9月9日

東福寺変電所  2016年9月9日


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