象の鼻エリアの転車台(2008年10月19日)

 横浜市の広報課から、横浜港の「象の鼻」の復旧工事エリアで、明治の頃の荷揚げトロッコの転車台が見つかった、ついては見学会を開くとのメールが届きました。今回だけの限定見学会だそうです。
 昔の横濱を知る親父やお袋は亡くなりましたので、当時のことは知る由もありませんが、まあ、自分たちにかかわる歴史は自分の足で調査しかありません。
これは早速、見に行こうとはやる気持ちを抑えながら出かけました。ライ隊員はまたお留守番です。


象の鼻エリアの転車台 地図 (2008年10月19日)

 「横浜港発祥の地である「象の鼻地区」エリアは、開港150周年を契機に「象の鼻パーク」として生まれ変わります。平成21年6月2日にはオープンします。現在急ピッチで整備をすすめていますが、工事中に発見された開港から明治中期にかけての港の遺構が幾つかありますが、そのうちの「港の貨物線の鉄軌道及び転車台」について見学会を実施する。
 これは、港湾局港湾整備部・都市整備局都市デザイン室共催の期間限定のアナウンスです。
 大変心惹かれる文句です。
 当日の様子を記した何方かのブログには、うさおの後姿が写っておりました。
(http://bokukoui.exblog.jp/9455738/)


象の鼻エリアの転車台 うさおの後ろ姿 (2008年10月19日)

 2008年10月19日(日)午後1:00から午後3:00まで、発掘された現地にて専門家による解説が行なわれました。堀 勇良氏 (元文化庁参事官付主任文化財調査官・横浜市歴史的景観保全委員)、米山淳一氏 (横浜市歴史的資産調査会委員)が講演者でした。
 当日は曇り気味の日でしたが、早めに食事を済ませ現場に行きました。Caccoは喫茶店が好きなので時間が来るまでお茶しようと言っていたのですが、それも振り切って見学会場に行きました。
 早く帰らなくちゃライ隊員に悪いじゃないか!でももう、既に人の波が押し寄せています・・・。待っている間にもわらわらと人が集まってきます。別に順番じゃないと見れないって訳じゃないけど、習い性のせいか早く並ばないと心配になってきます。
 見学者はお爺さん、お婆さんだけかと思っていましたら、若い人のカップルも多く、100人以上は居たでしょう。


象の鼻エリアの転車台 東西倉庫の処がぽっかり空いている (2008年10月19日)

象の鼻エリアの転車台 入口の看板 (2008年10月19日)

象の鼻エリアの転車台 こんなに集まって来てます (2008年10月19日)

 兎も角も土中から掘り出された転車台は、風格を感じさせるものでした。
転車台とは写真にあるような荷揚げ用のトロッコを90度、直角に方向転換させるもので人力のターンテーブルのことです。
 軌道間隔は3フィート6インチ、鉄道工事管理者の受講時に教え込まれた「イチコロロクナナ」の数字。すなわち1067mmのゲージでした。
 今の在来線の規格ですね。世界的には狭軌と呼ばれています。
 ちなみに新幹線の1435mmのゲージは標準軌と呼ばれ、世界的にはごく普通の線路幅です。京王線をはじめとする路面電車のゲージは、1372mmが使われています。
 説明者は同一規格なので日本国中に貨物車で配送されたのかもって、勢いで喋ってましたが、軌道構造を見ると貨車が入ってこれる構造では無いので、これは無理でしょう。
 で、これが転車台跡です。直行する軌道を曲線を設けず台を回転させることで直角に方向を変えることが出来ます。しかも人力で動かすことが出来るので、とてもエコです。
 浅目の井戸のような構造で下の方にコロのようなものが並んでいるのが分かります。
天板だけを取り出したのが、上の写真です。比較的厚い鋳鉄で車輪の通るところだけスリットが切ってあります。
井戸の中はレトロっぽい煉瓦積み。なかなか風格じゃん。外国の文化を取り入れた感じが紛々としている。
 もう少し中を覗いてみると、そこには転車台の心棒が見えてきます。しかし、あの当時の技術ではこのように深い穴が必要だったのだろうか?この穴は関東大震災のため、レール部分が下がってしまい、それ以来使われなくなったと思われます。確かにレール位置で曲がっている。
 この跡の上に東西倉庫が建てられたらしい。今度の開発でその東西倉庫が取り壊されました。それ故、遺跡がこれほど当時のまま残っていたのでしょう。


象の鼻エリアの転車台 皆さん興味津々です (2008年10月19日)

象の鼻エリアの転車台 井戸の中は煉瓦積 (2008年10月19日)

象の鼻エリアの転車台 地中から掘り出してみると (2008年10月19日)

象の鼻エリアの転車台 鋼板の蓋の上に鉄路が交差 (2008年10月19日)

象の鼻エリアの転車台 もっと中に入らせてくれれば (2008年10月19日)

象の鼻エリアの転車台 反対側から (2008年10月19日)

象の鼻エリアの転車台 何かの模様に見える (2008年10月19日)

象の鼻エリアの転車台 当寺はどんな感じだったのか (2008年10月19日)

象の鼻エリアの転車台 こんな感じでした (2008年10月19日)

 さて、これが当日の説明者たちで、うさおはこの講義を聴いているところを、他のマニアの方に写されてしまったのだ。


象の鼻エリアの転車台 講演者の方 (2008年10月19日)

象の鼻エリアの転車台 講演は大変貴重なものでした (2008年10月19日)

象の鼻エリアの転車台 大盛況でした (2008年10月19日)

 うさお的に興味を引いたのがこの軌道跡だ。もちろんこのトロッコの軌道ではありません。戦後敷かれていた臨海貨物線の軌道跡だ。
バックに見えるのは横浜税関です。通称クイーンと呼ばれている建物です。


象の鼻エリアの転車台 レールの跡が見える (2008年10月19日)

象の鼻エリアの転車台 波止場の方から見てみました (2008年10月19日)

 2009年9月27日に日本大通を見に行ったときに、海洋会館の屋上に上って、転車台の状態を確認しました。柵があるところに足元にガラスが張ってある所があります。ここに転車台が残されています。象の鼻パークは綺麗に整備されてしまい、あのレールも無くなってしまいました。


象の鼻エリアの転車台 海洋会館屋上から 中央のガラス張りの処が転車台 (2009年9月27日)

 最近、2015年5月4日に再び象の鼻パークに行ってみました。なんと、パークの片隅に転車台が雨曝しになって飾られています。誰も気が付く人はいないようです。私たちが写真を撮っていると、外人さんが不思議そうに私たちを眺めていました。


象の鼻エリアの転車台 再びパークに行ってみました 象が居ました (2015年5月4日)

象の鼻エリアの転車台 こんな片隅に置かれています (2015年5月4日)

象の鼻エリアの転車台 柵の中に入ってはいけない警告が (2015年5月4日)

象の鼻エリアの転車台 もう錆がひどい、防錆処理はしないのかな (2015年5月4日)

象の鼻エリアの転車台 誰かがここで住んじゃうなんてことは無いよね (2015年5月4日)