不老不死伝説(2008年12月31日)
随分と以前から矢澤さんの論の中に愛と共に、如何に老後を生き抜くかというテーマが見え隠れします。うさおも日頃はそんなことを思っても見ていなかったですが、自分にも老域の兆候が見えてくると、自分は何時まで生きられるのだろうかと言うところに思いを致すようになりました。
残り時間は後、僅かのようにも思うし、それでも老醜を晒しながら生き続けるような気もしています。若い時のような気持ちと健康状態が保てるなら長生きも素晴らしいのだけど。
と言うことで、テーマは「不老不死」。太古の昔から論じられている割に解決をみいだされていないテーマです。エジプトのミイラや、日本の即身仏は来世に繋がる未来を期待したものでしょう。
何故長く生きていたいのだろうか?ラーメンズの「アトム」の中では、冷凍冬眠した父親が同年配になった倅の時代に解凍され蘇えり、世の中がどんなに変わったかを倅に問いただす。「鉄腕アトム」に代表される思い通りの未来になったのか期待を持って問いただす。しかし、現代のあまりの普通さにがっかりして更に冬眠してしまう話だ。
(普通じゃん、普通じゃん・・・)
不老不死伝説 ラーメンズ 「アトム」より(2008年12月31日)
秦の始皇帝は天下を取ってからは、自分の御世を永続させたいために、「徐福」に「不老不死の薬」を探しに行かせます。よほど「不老不死」を切望していたのか、「徐福」の「捜してきましょう」という言葉に乗せられて若い男女2000 名と莫大な生活必需品を持たせ、何艘もの船で探索することを許します。
「徐福」は東方(日本の方向ね!)に在るという霊山:蓬莱山(三山のひとつ、またの名を不二山と言います。方丈山、瀛州山が他の山です)を目指して出かけます。
その地が日本とも台湾とも言われておりますが、その所為か日本各地に「徐福伝説」が多く残っています。
漫画会の奇才、諸星大二郎の「徐福伝説」は面白く読めました。「徐福」は自分の部族を強大な秦より逃がすために、2000 名を連れていったとも言われていますが。
不老不死伝説 諸星大二郎「徐福伝説」(2008年12月31日)
醍醐とは想像を絶する美味な「食材」とも「不老不死の薬剤」とも言われています。醍醐味ってとっても美味しいものの味だったんだね。
醍醐天皇だったか後醍醐天皇だったかは、その「不老不死の薬」を求め「酥(そ)」を探しに行かせます。白土三平の漫画「いしみつ」(字が難しくて当用漢字に出てきません。図を参照のこと)ではその件(くだり)を、「酥」とは「酪の最高のもの」と位置づけ、異なる「不老不死の薬」として「冬虫夏草」をあげていました。
どうやら字面からすると「酪」とは今のチーズのことかなあ、冬虫夏草は冬眠している昆虫の体に植物が寄生するもので、漢方薬でも貴重なものとして扱われています。「冬虫夏草」は実際特殊な成分が含有されており薬としての効能もあるとのこと。形が不気味なので、うさおは「不老不死」にならなくても良いや。どこかのレストランでは、これが目玉メニューと聞いたぞ。
不老不死伝説 冬虫夏草 (2008年12月31日)
また木耳(きくらげ)も「不老不死」の薬として扱われていたように記憶している。ただし、中国では古来、白木耳と呼ばれる白い種類のものが、「不老不死」の薬剤だとされていました。うさおは食べたことがないなあ、ほとんど黒っぽいやつばかりですね。
白戸三平のこの本を、古本屋で貸本屋版のこの本を見つけた時は、大喜びで買い求めましたが、自宅の引越しの際に無くしたようです。
不老不死伝説 白戸三平「いしみつ」(2008年12月31日)
「徐福」と似た話に、「補陀洛」伝説があります。補陀洛とは「ふだらく」とか「ポーダラーカ」と読まれますが、「補陀洛」とは観世音菩薩が住んでいるとされる浄土、天国のこと。
あれ、お釈迦様の「極楽」とは違うのかな?極楽は西方浄土に位置するとありますが、「補陀洛」は南方の海の中にあるとされています。
日本では特に和歌山の「補陀洛渡海」が有名で、観音様の浄土を目指して、粗末な箱舟の中に僧侶を閉じ込めて、南海を目指して、海に流しました。
「華厳経」では「補陀洛は泉があふれ木々が繁り、花の香りが漂い、観音菩薩が金剛石の上に座していらっしゃる」ようでここでは永遠の時間を過ごせるとのこと。死もなく、病気もなく、苦痛もない、つまりは「不老不死」の究極です。
不老不死伝説 家の近くの徐福遺跡 (2008年12月31日)
不老不死伝説 家の近くの徐福遺跡 (2008年12月31日)
不老不死伝説 家の近くの補陀落山遺跡 西方寺 (2007年1月8日)
不老不死伝説 家の近くの補陀落山遺跡 西方寺 (2007年1月8日)
不老不死伝説 家の近くの補陀落山遺跡 西方寺参道 (2007年1月8日)
不老不死伝説 家の近くの補陀落山遺跡 西方寺蝋梅 黄色の花 (2007年1月8日)
不老不死伝説 家の近くの補陀落山遺跡 西方寺 七福神掛け軸 (2007年1月8日)
不老不死伝説 家の近くの補陀落山遺跡 西方寺 ライ隊員の横顔の石 (2007年1月8日)
しかし、どうも、お釈迦様と観音様は別の種族の仏様のように感じます。「西遊記」でもお二人があまり仲が良さそうに書かれていません。
お釈迦様は髪の毛が天然パーマではだけた衣を着てらっしゃいますが、観音様の髪はどうやらストレートでキリスト教のマリア様のように薄布の被り物をしていらっしゃいます。女性とも噂されておりますが、「アバロキテーシュバラ」と言うインドの神様であることは有名です。
不老不死伝説 藤原カムイ釈迦無二像 (2008年12月31日)
不老不死伝説 藤原カムイ観世音菩薩像 (2008年12月31日)
観世音菩薩、観自在菩薩とも呼ばれます。三十三観音とか多くの観音様がいらっしゃるようですが、いつか観音好きの由佳ちゃんに観世音論をしていただきたいと思っております。
そんな由佳ちゃんから、ご自宅の観音様像の御姿を幾つかを送っていただきました。じんじんのお父様が温泉を掘り、その地に一葉観音様を飾ってらっしゃると言うか、お湯を賜っていらっしゃると言うか、有難いことでございます。
不老不死伝説 一葉観音様 (2008年12月31日)
不老不死伝説 湯の観音様 (2008年12月31日)
不老不死伝説 観音様 (2008年12月31日)
不老不死伝説 福厳寺の本尊様 (2008年12月31日)
不老不死伝説 じんじんのお母様の持佛 (2008年12月31日)
不老不死伝説 霊園の観音様 (2008年12月31日)
昔、早離(そうり)と即離(そくり)と言う、そっくりの兄弟が南海の孤島、補陀洛山に流され、死に行く苦しみを与えられました。次に生まれ変わったら、同じ悲しみに泣く人々を救っていこうと心に決めました。
兄が観世音菩薩となり、弟が勢至菩薩(せいしぼさつ)となりました。
じゃあ観音様は男子で弟がいるんだ。
兎にも角にも、補陀洛山は関東にも数多く存在します。以前、七福神の時にご紹介した「補陀落山 西方寺:真言宗」は横浜市港北区の里にあります。庭の蝋梅が美しかったですね。
千葉県館山市那古にも補陀洛伝説のお寺さん、那古寺(真言宗智山派)が在ります。やはり真言宗です。
日光の東照宮も有名です。東照宮の中に日光二荒山神社がありますが、奈良時代に勝道上人が男体山を見てその美しさから観音浄土にみたて「補陀洛山」と名づけたそうな。
「補陀洛」が「二荒(ふたあら)」と訛り、音読みして「日光(にこう)」となった説もあります。
こじ付けみたいですが確かにここに観音様がいらっしゃったと思います。
この手の不老不死伝説がお好きな人は「ニライカナイ」も補陀洛山だと言います。
不老不死伝説 うさおが好きな小田原の魚籃観音 (2006年7月6日)
不老不死伝説 小田原の魚籃観音 こんなお顔 (2006年7月6日)
不老不死伝説 小田原の魚籃観音 新幹線から (2006年7月6日)
不老不死伝説 後ろから見える魚の尻尾が可愛いです (2006年7月6日)
さて、補陀洛浄土は南海の海にあることが判りました。徐福は東海の嶋、蓬莱山に行こうとしました。となると次の連鎖は「浦島」だと言うことに気が付きます。
観音様が連れているのは白馬で、この馬は南海の竜王が化身したものですから、浦島太郎が連れて行かれた南海の竜宮城は「補陀洛山」だった可能性が高いですね。
不老不死伝説 観音様 藤原カムイ (2008年12月31日)
で、浦島太郎伝説ですが、「丹後国風土記」によると、「浦島子が海に出て五色の亀を釣り、船の中に置いて眠ると、亀はきれいな女に変身する。女は自分は仙界の者で風流な浦島子に感応して来たと言い、浦島子を誘って不老不死の蓬莱山に連れて行く。彼は仙女とともに、蓬莱山で三年間 生活を送るが、その後故郷の両親が恋しくなって帰郷を申し出ると、女は別れを嘆き、戻ってきたいと思うなら決して開けてはいけないと言って「玉匣」を授ける。故郷に戻った浦島子は、土地人の話によって地上では三百年もの時間が経過していたことを知り、驚きのあまりに約束を忘れて「玉匣」を開けると、若々しかった肉体は風雲とともに天空に翔り飛んでいき、浦島は鶴になり、竜宮の亀姫(乙姫)とともにめでたく暮らし、夫婦の明神として祭られる。」だって。
不老不死伝説 慶運寺 うらしま寺 (2001年1月7日)
不老不死伝説 慶運寺 亀 (2008年8月9日)
不老不死伝説 蓮法寺 浦島伝説 山門 (2008年7月21日)
不老不死伝説 蓮法寺 浦島伝説 左端が浦島太郎? (2008年7月21日)
不老不死伝説 蓮法寺 浦島伝説 背後に亀が居ます (2008年7月21日)
不老不死伝説 蓮法寺 浦島伝説 参道の脇にあるので見逃しそう (2008年7月21日)
不老不死伝説 蓮法寺 浦島伝説 寺紋は亀 (2008年7月21日)
ここにも蓬莱山と言うキーワードが出てきます。徐福伝説と補陀洛伝説が微妙に絡み合っているようです。
横浜市神奈川区に観福寺という浄土宗の寺院があり、通称を浦島寺と言いました。この寺の略縁起によれば、三浦半島出身の浦島太夫が妻子とともに丹後半島に赴任し、息子の太郎が浜で大亀を釣ります。 この亀が美女に変身して太郎を竜宮城へ連れて行きます。
竜宮城ですばらしい日々を過ごした太郎はやがて帰郷を願い、玉手箱と観音菩薩を与えられます。
丹後半島に戻った太郎が両親や知人の不在を知って観音菩薩に祈ると、「私を背負って関東に下れ」との夢告を得ます。 三浦半島に戻った太郎は浦島の九代後の子孫に逢い、両親の眠る地を知らされますが、それが神奈川の浦島丘でした。
太郎は両親の墓前に小堂を建てて竜宮から持ち帰った玉手箱と観音菩薩を安置し、何処かへと去っていきました。 しばらくして神奈川付近の漁師は海に現れた浦島太郎と乙姫の観音菩薩護持の誓約を聞き、浦島太郎の建てた小堂を立派な寺院に建て直して観音菩薩を信仰しつづけました。浦島太郎が竜宮城から持ち帰った観音菩薩を本尊とし、亀乗聖観世音立像と浦島大明神立像・亀化龍女神像の三像が、浦島寺の火事で焼失したため、今は慶運寺に祀られています。 (有鄰No.458「よこはまの浦島太郎」阿諏訪青美)
不老不死伝説 蓮法寺 浦島伝説資料 (2008年7月21日)
不老不死伝説 蓮法寺 浦島伝説資料 (2008年7月21日)
つまりは南海か東海に蓬莱山(竜宮、常世:別名不二山)があること。その地は観世音菩薩が管理する楽園であること。
不二山とは不死山のことでその地では永遠に歳を取らないか、現世の100 分の1 程度の時空間の中にあること。その地が日本にあるならばそこは「富士山」なのか?
そう言えば徐福のことを詳細に記した宮下文書は、富士吉田の宮下義孝家の土蔵に保管されている原書を克明に書写したものをいいます。この宮下文書は富士文書、あるいは徐福文献とも云われ、木片や石面などに神代(くましろ)文字で記されていました。しかし、この書を含め竹内文書・九鬼文書・東日流(つがる)外三郡誌等は、これまですべて偽書扱いされてきましたが、徐福伝説は最近中国本土で史実であることが証明されましたので、ここで言う補陀洛伝説、浦島伝説もすべて史実であることが判ります。
だから、これからの半生は不老不死の薬を探すことに費やすことにしました。
(こんな大見得を切って大丈夫か?うさお!)
観音様異聞
さて、前の不死不老の観音様で、少し付け足しをしておきます。資料が漫画からと言うのが弱いけどね。
日本人は昔から観音様には何か特別の親しみを持っていると思っています。
観音様は一般的には男と思われていますが、だとしたら物凄く優男でスレンダーで着こなしが上手いとしか言えないセンスを持っています。女性だったら歳の頃なら20
代後半か30 代前半で、やはりスレンダーで訳在りの煩悩を優しく包み込んでくれるお姉さん的存在、その中間だと「中村中」のような性同一性障害をもつ苦悩する人というのがうさおのイメージです。
中村中
うさおの観音様の記憶は小さい時に連れて行かれた、長瀞の観音様しか覚えが無いけど。
観音様を商号に使っているのは「CANON」が有名、精機光学研究所がカメラの試作機に「KWANON(カンノン)」と名づけれました。俗説に言うキャノンは「キャノン砲」とかの武器から来た名前ではありません。
観音様は本当は一人であるはずなのに、七観音様とか三十三観音様とかやたら多くなっています。(一人じゃん、一人じゃん。)
canonのマーク
聖観音、十一面観音、千手観音、馬頭観音、如意輪観音、准胝観音に以前由佳ちゃんが、うさおは例えるなら「不空羂索観音」であると言われいた観音様を入れて「七観音様」と言われております。観音様(補陀洛浄土)と仏陀(極楽浄土)の住む世界に違いがあるのは、違う部族であったからかもしれませんが、男と女の変にどろどろした関係があったのかもしれません。観音様に思いを寄せている仏陀、それを知りながらいささか冷たい態度で接している観音様。
紀伊半島にある熊野は海と山に囲まれた現世とは隔絶された地です。古からこの地は死者と神々の霊がすむ根の国(死の国)とされていました。熊野古道にも行って見ましたが、何だか熊が出そうで別の意味で怖かったです。根の国は山の中、海の彼方にあるのが常世の国、補陀洛です。
不老不死の楽土で迷いのない悟りの世界が存在し永遠の生命を得る補陀洛という理想郷が生まれたと思います。
現世の補陀洛浄土はじんじんの実家のお寺さんの温泉。
「観音の湯」。あるブログに次のようなものがあった。これって由佳ちゃんちではないのかな?
「先月、小牧大草福厳寺敷地内に、温泉がオープンしました。「観音の湯」と名づけられたその温泉には、檜の香りたっぷりの露天風呂と大きな酒樽で造られたスチームサウナがあり、参拝者に癒しの音楽を聴きながらゆっくり疲れを取っていただきたいという住職の願いを叶えるべく、スピーカー、アンプの取り付けに行ってまいりました。」PA屋さんのブログだったんだね。「店の内装工事をした事がこんな形で役に立つとは思いませんでしたが、初めての仕事にも関わらず段取りよくできました。小さいですが、竹林に囲まれ檜の香りもたっぷりでいい温泉ですよ~。今度ゆっくり浸かってこようと思います。。。」
http://musicspacekonn.blog102.fc2.com/blog-category-5.html
PA屋さんのサイトから