Tomy jr.
プラモデルは奥深いオトナの遊び
私の小学生時代、男の子なら毎月親から貰うお小遣いの殆どは漫画雑誌と駄菓子とプラモデルに消えていました。つまり
プラモデルというのは極めてスタンダードな子供の遊びでした。その頃は町ごとにプラモデル屋があって我々男子児童の社交場でした。社会人になりたての頃、妹用にスターウォーズのXウィングを買いに行ったら「あら、スティングレー*じゃないのね」とお店のママ。私の子供の頃の嗜好を覚えている事にも驚きました。
やがてその店も無くなり、今やオッサンになっている長男の3歳の誕生日にかこつけ、自分が
子供の頃には買えなかった今井科学の「サンダーバード秘密基地」の特大プラモデルを〇十年ぶりに東急ハンズで購入して作りました。これには鉄道模型用の樹木や人形も配し箱絵よりもずっとリアリティを追求したジオラマとして完成させ、長男が玩具として飽きた後もケースに入れて飾ってあります。特に大好きな4号(潜水艇)は会心の出来でした。
そして昨年、
地元自治体の高齢者向けプラモデル講座に参加して、また〇十年ぶりにプラモデルを作りました。共通課題の「江戸城」で講師からウェザリング(風化)テクニックなどを習い、自由課題には長男から数年前に誕生祝でプレゼントされていたミレニアムファルコン号を製作しました。それまでピカピカの状態しか作っていなかった私も、
経年劣化した宇宙船のヘタレ感や戦闘ダメージ痕等をアイシャドウや線香を使って表現しました。
専用器具や材料を一切買わずにひたすら知恵を絞り、2か所しか点灯出来ないのに2千円以上する別売標準LEDユニットは買わず、百均でクリスマス用のLEDを2種類組み合わせ、ケース底板裏の電池駆動で10か所以上の照明を実現しました。またコクピット裏と射手室と昇降口に白濁色の照明カヴァーを付けたいと企んで試行錯誤の挙句、豆腐パックを切って使用。これは接着剤が効かない素材のため両面テープを使う等の工夫もしました。
↑ミレニアムファルコン号の製作過程写真はこちらのQRコードから。
これら苦労の甲斐あって長男からは「親父、けっこうやるじゃん」と評価され、一緒に観た
映画「ゴジラ-1.0」に出てきた“奇跡の駆逐艦”雪風のプラモデルを今年の誕生祝に贈られました。私にとっては初の艦船プラモデル製作であり、また1/350の大型モデルでしたので、図書館で何冊も書籍を借りては軍艦の装備や海戦史等を入念に調査して臨みました。お蔭で海戦での駆逐艦の役割、魚雷や水雷発射装置や舫リールについて学べました。
↑奇跡の駆逐艦“雪風”の製作過程写真はこちらのQRコードから。
艦船プラモデルの場合、船底まで製作する「フルハウ」モデルにするか、喫水線まで製作する「ウォーターライン」にするかという選択を迫られます。散々悩んだ末に、結局
1/350の大型モデルは「フルハウ」で製作して陸上展示形態とし、それとは別に小型の1/700スケールの雪風のプラモデルを別途購入し、こちらを「ウォーターライン」で製作して海上ジオラマ化するという、「雪風二連作」にすることにしました。
最近はYoutubeでプロモデラーが製作手順や塗装テクを様々な動画でアップしています。艦船モデルの専門家による動画を見ることで、ウェザリングも
単なる黒っぽく汚す表現のみならず、海の潮による白っちゃけた船底の塗装落ちや錨等の鉄製装備品から流れる錆の表現なども学び、大型(1/350)モデルでは塗料種別(ラッカー系、アクリル系、エナメル系)や塗装方法(缶スプレー、筆の重ね塗り、スポンジ等でのスタンピング等)を駆使しました。
一方、小型(1/700)モデルについてはリアルに海上を走る海洋ジオラマをどう製作するかがカギでした。本格的な海洋ジオラマは、固まるとガラスのようになるレジンやリキテックス等の樹脂を用いるのですが、
高価な専用素材は使いたくなかったので、アルミホイルとボンドにアクリル絵具で彩色する方法をYoutubeで見つけ、船舶が生む航走波の動画等も参考にし次男の使い残しのポスターカラーで海の青や緑、そして波頭の白を表現しました。
すると長男から「折角だから海中も作ればフルハウでイケる」と言うので百均でカラークリアホルダーを買ってきて青と緑の板を作って海中を模し、海底はアルミホイルで自然な凹凸を作り、スクリューが生む波は脱脂綿を使うことでそれっぽく表現しました。そしてこれもYoutubeで知った写真動画化アプリを使い、まるで本物の海を走るような動画コンテンツ**まで作れました。これは流石に我ながら良くやったと思います。 (2024.08.09)
*:米GM製スポーツカー、シボレーコルベット(2代目以降)の愛称。私は小学生の頃、川津祐介主演のTVドラマ「スパイキャッチャーJ3」でこの車に惚れ、プラモデルはこの車を好んで作っていました。
**:StoryZで写真から作成した動画 ⇒ https://www.youtube.com/watch?v=WFAsSYh9V9U