読書評 神奈川県警「ヲタク」担当
                        うさお

                  
 
 鳴神響一・著/幻冬舎

「4:テディベアの花園」 幻冬舎
「5:鎮魂のランナバウト」幻冬舎


 近所の書店は、いつもシリーズ物の単行本が不規則な巻数で並んでいます。これも、4,5巻しか置いてありません。普通は、4,5巻が売れたら1~3巻も仕入れ直して並べるはずなのに、そのようなことは無く、次の入荷はありません。
 鳴神響一氏は大変健康状態が悪そうな顔をしています。目の下の隈が大きいです。過去に大病をされたというので、宣なるかなです。
 三橋達也さんと同様で、鳴神さんの顔を描けば描くほど、どんどん似てない方向にいきます。仕方がないので三橋達也さんのときのように、陰影だけを描いてみました。似てはきたのですが、不気味になりました。鳴神さんごめんなさい。


「4:テディベアの花園」

 テディベアのヲタク殺人事件が起こるのですが、昔からテディベアは可愛くないと思っていたので、何か共感をもてません。
 クマの縫いぐるみは結構好きなのですが、この手足の長い熊は不細工に見えて仕方がありません。この熊に2千万円を超す値段が付けられるとは世も末です。この熊が好きな外人さんの好みは理解できないなあ。

 主人公は細川春菜という巡査部長。所属は神奈川県警刑事部刑事総務課、専門捜査支援隊。各分野で専門知識を持っている学者などから、捜査の参考になる専門知識を収集する役目を担っています。
 班長以下、皆大学院で学んだ各分野の専門知識を持っています。春菜は私大を出て警察官となりましたが、専門知識など持っていません。が、もう既に3件もの事件を解決しています。(多分、1巻~3巻で述べられているのだろう)

赤松富祐 班長(警部補)経済/経営/法学系担当
尼子隆久 巡査部長   人文/社会学系担当
大友正繁 巡査部長   工学系担当
葛西信史 巡査部長   理・医・薬学系担当

 それにいつも春菜を連れ出す浅野が絡んで、事件の謎を解き明かします。

浅野康長 刑事部捜査一課強行七係主任、警部補

 今回は赤松班長が、熱烈なテディベアの愛好者であることが判明、一緒に付いていくことになります。密室の謎を解いたのも班長です。

 
「5:鎮魂のランナバウト」


 うさおは車は好きですが、外車はあまり趣味ではありません。部品が容易に調達できる日本車が好きです。今回は自動車評論家で、自宅に数台の旧車を所有している人物が殺害されます。なんと、尼子巡査部長が旧車のファンであることが発覚、しかも、フォルクスワーゲン・タイプⅠを所有していた。こんな偶然があるんですね。
 事件はまたもや、春菜の推理で見事に解決、でも、春菜は「ヲタク」的な知識もなく、「捜査協力者ヲタク担当」と名乗っているのも何か変ですね。解決の決め手は、犯人しか知り得ない情報をぽろっと自白したのを、春菜が気づいたことです。
 余談ですが、「ランナバウト」は自由に走り回ること、「ラウンドアバウト」は環状交差点のこと。
 まだ、ベルリンの壁が崩壊される前のことですが、ソ連の監視員の元、東ベルリンに入ったことがあります。その時に「あれが紙でできた自動車ですよ!」と添乗員さんに教えられました。その時についうっかりと車の名前を忘れてしまい、如何にもドイツ語っぽい「ランナ・バウト」を車の名前だと誤認してしまいました。
 大間違いです。綴は「run-about」で英語です。紙で作られた車は「トラバント601」といいます。紙で造られたというのも間違いです。
 「トラバント」は、当時の慢性的な鋼板不足のため、デュロプラストと呼ばれる樹脂で固めた圧縮紙ファイバーのボディーに、空冷2ストローク直列2気筒594ccエンジンを搭載した前輪駆動の車です。現在、カーボン・FRP製の高性能車両もあるので、先進的だったのかもしれない。
 この車はベルリンの壁が崩壊後、フォルクスワーゲンの性能に太刀打ちできず、瞬く間に消滅していきました。