映画評 Tomy jr.

                  
 ファウンダー
 ハンバーガー帝国のヒミツ
 米国Film Nation Entertainment・2017年公開             Tomy jr.

監督:ジョン・リー・ハンコック
脚本:ロバート・シーゲル
出演:マイケル・キートン
   ニック・オファーマン
   ジョン・キャロル・リンチ
   リンダ・カーデリーニ
   パトリック・ウィルソン
   B・J・ノヴァク
   ローラ・ダーン 他
上映時間: 115分
興行収入:約240万ドル
写真:映画.comより


《概要》

 初老のセールスマンが世界最大のレストランチェーン創業者となっていく半生を描く。

《ストーリー》
 1954年、52歳でロードサイド店にミルクシェイクマシンを売り歩くセールスマン、レイ・クロックは画期的な生産方式のハンバーガーショップを開店したマクドナルド兄弟と出会う。
 レイは兄弟を説得してフランチャイズ・チェーンの共同経営者となるものの財政状況は厳しいままだった。しかし財務コンサルタントのアドバイスでビジネスモデルを大転換して世界的な成功を収める。しかしその過程において経営方針で兄弟とは決裂し、最終的には経営権を買い取って彼等からは店名も奪い、遂に「マクドナルドの創業者」を名乗る。

《所感》
 私はこの映画を観て「マーケティング≠ビジネス」という事を初めて学んだ。30代にビジネススクールでマーケティングを知った私は「マーケティング≒ビジネス」だと信じて来た。
 しかし、レイがフランチャイズ展開に成功しても財務的に苦境に立たされている時、財務コンサルタントから「店があんなに繁盛しているのに儲かっていないとしたら、それはビジネスのやり方が間違っているからだ」と指摘される。そこから彼は店舗予定地を購入して家賃収入で儲けるという、いわば不動産業に転じて成功を収めていく。また、映画を観るまでは「創業者(レイ・クロック)の自伝をベースにした脚本なのにどうしてマクドナルドがスポンサードしないのか」不思議だった。しかし彼が糟糠の妻を捨てて派手な人妻とレストランでデートするシーンが何度かあり、そこで毎回流れるBGMを聴いて分かった。
 その曲が「Pennys from Heaven」だったからである。この曲は1936年の同名映画のテーマ曲だが“天からお金が降る”という意味の曲名は“棚からボタ餅”という意味の常套句でもある。

 つまり「こいつは自分が創業者とか名乗っているが結局は棚ボタじゃねえか」と暗に揶揄しているのである。同映画の制作にあたっては本来の創業者でありながらレイのビジネス転換について行けなかったマクドナルド兄弟が資料提供したとされており「なるほど、これではマクドナルドはスポンサード出来ないな」と思った。(2024.02.06)