大阪の名建築を巡ってみる⑤
          生駒ビルヂング
                                                       うさお&Cacco

※淀屋橋の界隈は昔から続いた中小企業の会社が多い。そしてその建物はレトロで親しみやすい。今回は歩くルートをCaccoが事前に選定してくれたもの。見たい建築は12にも及ぶが、うさおの脚がCaccoに及ばないので、歩く速度、歩ける距離(途中休みを入れながら)に制限があるので、9ヶ所に厳選しました。何しろこの後、甲子園に行かなくてはならないので、時間的にも強行軍でした。

生駒ビルヂング

 生駒ビルヂングは比較的簡単に見つかりました。大阪府道102号恵美須南森町線(堺筋)と平野町通の交差点に位置します。茶色いスクラッチ・タイルの外壁が、とてもレトロで目を引きます。生駒時計店は、8代目生駒家当主、権七が「大権堂」として時計店を開設しました。関東大震災の影響で、煉瓦造りなどの組積造は災害に弱いと考え、耐震性、耐火性に優れた鉄筋コンクリートの本社を建設しました。


生駒ビルヂング 西側 2023年9月12日

 ビルの設計は、関西建築協会(現・日本建築協会)の副会頭・副会長だった宗兵蔵の宗建築設計事務所が行い、施工は大林組でした。
 地下1階、地上5階建てで全体的にアール・デコ様式でまとめられ、際立った外観をしています。外壁タイルはスクラッチタイルで、当時日本の規格製品に無かったので、フランク・ロイド・ライトと同様に、生駒権七(10代目)はスクラッチタイルを特注します。それだけではなく、建物の土台に500本の基礎杭を打っています。大阪市は東京の有楽町と同様、埋立地ですから軟弱地盤であったと思われます。この杭を群杭と言いますが震災の際の液状化の抑止効果が有るという研究成果がでています。
 竣工時の写真には、時計塔も写っていますが、この時にはここまで歩いてくるので精いっぱい。交差点を渡って遠景から望めば、この時計塔が見えたんだよね。足が痺れて交差点を渡る気がしなかったのが敗因だな。


生駒ビルヂング 竣工時の写真 2023年9月12日

 この縦長の細長いデザインのファッサードは振り子だと言われています。銀座に有る交詢社の外観を思い出してしまうのは何故だろう。


生駒ビルヂング 交差点側 2023年9月12日

生駒ビルヂング 生駒時計店の入口 2023年9月12日

 看板に有るT4BとはTime for Buisinessの頭文字らしい。時計店だけではなく、貸オフィースや貸会議場、貸店舗など幅広いビジネスを繰り広げています。


生駒ビルヂング T4Bのマーク 2023年9月12日

生駒ビルヂング 登録有形文化財の銘板 2023年9月12日

 駒形に「生」を刻んだ装飾板を、最上段に8列並べ各々別意匠の板が設置されています。何か渋川ビル同様、南米ぽいイメージがするのは何故なんだろう。聞きたいことばかりで、このお店に聞いてみればよかったな。


生駒ビルヂング 西側 2023年9月12日

 ビルの東側の硝子張りのファッサードは、繰り返しになりますが振り子をイメージし、下の丸窓がその錘をイメージしています。うさお達は小心者なので、お店の敷居が高くて見学させてくださいと言い難かったな。


生駒ビルヂング 振り子のデザイン 2023年9月12日