まんだら堂は名越の切通しの途中に存在します。「鎌倉殿の13人」のおかげで鎌倉が人気です。三方を山に囲まれているため、軍事的に天然の要害となっていました。
 そんな鎌倉でも流通路は必要で、13世紀には、朝比奈切通し、名越切通し、大仏切通し、化粧坂切通し、巨福呂坂切通し、亀ヶ谷坂切通し、極楽寺坂切通し、釈迦堂口切通しの八切通があったされています。これら古道は得も言われぬ美しさ、荘厳さがあり、水戸光圀公は釈迦堂口切通し以外を「鎌倉七口」と名付け讃えたと言います。釈迦堂口切通しは落石のために、現在は通れなくなっています。
 今回は名越の切り通しに行きましたよ。仏像に造詣の深いミルキーのお薦めです。足腰に不安のある、うさおとCaccoは行けるかなあと尻込みをしていましたが、絶ってのお誘いなので行ってみることにしました。※ミルキー:Caccoの従兄弟の嫁さん

 京浜急行線に乗って逗子・葉山駅に降ります。ここからバスに乗って小坪近くの「緑ヶ丘入り口」まで行きます。乗り合わせたお年寄りの一群は、岩殿寺、名越緑地、法性寺、大切岸を経て、まんだら堂やぐら群に向うようです。行き先は同じですが、私達はまんだら堂、一本槍です。


まんだら堂 京急逗子・葉山駅 2023年5月22日

 ここから降りたほうが近いと、ミルキーが私達の足を気遣ってくれます。


まんだら堂 一番近いバス停 2023年5月22日

 とはいえ、ミルキーも「確かここで良いんだよなあ」と心細げ、長い石段が続く道を登っていきます。途中、土地のおばさんが私達を追い抜いていきます。呼び止めて、道の確認をします。親切に教えて戴いたので、上まで買い物袋をお持ちしました。


まんだら堂 えっ、この坂を登るの? 2023年5月22日

まんだら堂 お礼にお荷物をお持ちします 2023年5月22日

 教えられたとおり、住宅街を抜け小坪トンネルの上を通り過ぎると、名越の切通しは直ぐそこにあります。この日は、まんだら堂やぐら群の初夏の限定公開日です。


まんだら堂 限定公開中 2023年5月22日

まんだら堂 国指定史跡名越切通しの入り口です 2023年5月22日

まんだら堂 京名越切通しの由来 2023年5月22日

 前日の雨で足元が泥濘んでいる切通しを、子どもたちの遠足なのか自由研究なのか、大量の学童が降りてきます。引率の先生もこの坂を降りていきます。この日は平日なので授業の一環でしょう、大変ですね。


まんだら堂 いきなり子どもたちの一群が 2023年5月22日

まんだら堂 二人は先に行って影も見えない 2023年5月22日

まんだら堂 名越の切通し 狭い 馬は無理かな 2023年5月22日

まんだら堂 この階段を上がってやぐら群へ 2023年5月22日

まんだら堂 まずは記念にパチリ 2023年5月22日

 地図の上では名越は鎌倉ではなくて逗子なんですね。やぐら群は墓地ですし、この山の下にはあの小坪トンネルが通っており、山の上には斎場があります。何かが憑いてきても不思議じゃあないなあ。


まんだら堂 いつもは門扉が閉まっている 2023年5月22日

まんだら堂 絵地図が期待感を盛り上げます 2023年5月22日

まんだら堂 ボランテアのおじさんが数人、説明してくれます 2023年5月22日

まんだら堂 まんだら堂地図 昭和29年版

 以前は、鎌倉のやぐらは敷地が狭いため、横穴を掘って倉庫のスペースを拡充したものだとか、横穴式の墳墓だとか言われていましたが、やぐらの起源は今以て判らないそうです。
 まんだら堂はどんなお堂だったかも記録が無く判りません。周囲のやぐら群は武士、僧侶、裕福な人の墓で、やぐらの中に石塔(五輪塔)があり、幾つかから人骨が発見されています。火葬の跡も残っているところから、骨にして埋葬したのかも知れません。


まんだら堂 普段は鍵が掛かって入れない 2023年5月22日

まんだら堂 やぐら群全景 2023年5月22日

まんだら堂 一番右手側 2023年5月22日

まんだら堂 五輪塔がたくさん 2023年5月22日

 三浦層群は水を含んでいるときには堅固な土丹ですが、湿潤、乾燥を繰り返すと表面から風化し強度を失います。削りやすい半面、崩壊しやすい地層ですが、500年くらいは軽く持つんですね。


まんだら堂 上の方の墓はお参りし難い 2023年5月22日

まんだら堂 石塔三基 家族の墓か? 2023年5月22日

まんだら堂 地層マニアには堪らない景色だ 2023年5月22日

 やぐらの中にある石塔は、この穴に元々あったものとは限りません。まんだら堂を整備したときに、ちゃんと識別して納めた訳ではないので、石塔の碑文から有名な人が出てきても、横穴とはリンクしません。石塔と人骨は一致しない可能性が高いです。


まんだら堂 やぐらの高さは人が座って入れる程度 2023年5月22日

まんだら堂 ここは大人数です 2023年5月22日

まんだら堂 縄文時代の横穴式住居みたい 2023年5月22日

まんだら堂 夜には来れないかもなあ 2023年5月22日

まんだら堂 一番左端 2023年5月22日



まんだら堂 ミルキーは散策します 2023年5月22日

 この日は5月でも暑い日でした。黒い服はことさらで、うさおは汗ダクダクでした。


まんだら堂 紫外線が強そう 2023年5月22日

まんだら堂 夏草が繁茂し時代の寂寥感があります 2023年5月22日

まんだら堂 火葬跡 2023年5月22日

まんだら堂 余った石塔 おいおい! 2023年5月22日

 この石塔、こんなところにあっていいのかな。祀られている誰かが、返してくれよと言ってるんじゃないかな。五輪塔は、空輪、風輪、火輪、水輪、土輪で構成されており、空輪には梵字が彫られています。この中で火輪の意味がよくわかりません。火は体温だと言いますが。

 やぐら群はここにつながる形で、円弧状の広場が現れます。岩場に貫通孔が開いているので、昔はここから墓参りに行っていたのかも。


まんだら堂 隣のやぐら群につながる小径です 2023年5月22日

まんだら堂 確かに同じようなやぐら群があります 2023年5月22日

まんだら堂 こちらのほうが洞の背が高いかも 2023年5月22日

 石敷遺構からは、断首された遺骨が発見されたそうです。ここは刑場だったのか、やはり祟りそうだな。足で踏んでたりしたらいやだなあ。


まんだら堂 石敷遺構 2023年5月22日

まんだら堂 これが貫通孔 2023年5月22日

まんだら堂 丁度人が通れるくらい 2023年5月22日

 こちらのやぐら群は崖の崩壊が見られます。今までにも地震や戦災、人為的な開発の影響を受けてきましたから、それらの所為かも。


まんだら堂 崩壊した崖 2023年5月22日

 平場の遺構には、昔、建屋があった竪穴や掘り下げた跡があったそうです。


まんだら堂 私たちが歩いている足元にも 2023年5月22日

まんだら堂 木漏れ陽の下のベンチに座ると動きたくない 2023年5月22日

まんだら堂 山アジサイが癒し 2023年5月22日

まんだら堂 俯瞰 右端にうさおがいる 2023年5月22日

 ともかくもよく歩けました。この後、鎌倉にお昼を食べに行きました。