巻頭言

 「綾の鼓」二号は「ある人」にあまり良い印象を与えなかったようである。「ある人」が何とか言う、大変に古い歴史を持つファンジン誌上で、「綾の鼓」二号は愛情がこもっていないという意味の批評をしていた。後で色々とそのことについて考えてみたのだが、思い当るふLがあるにはあった。どんな批評をされてもかまわぬが、そのことと愛情を結びつけられたのではかなわない。私たちは「綾の鼓」に対して強い愛情と誇りを持っている。少し大げさな表現をすれば、私たちはたった一度の青春をSFに賭け、私たちがつくったファンジン「綾の鼓」の一ページ、一ページがそれこそ青春の一ページなのである。
 「ある人」は日本のSFに、良きにつけ悪しきにつけ大きな影響をおよぼしてきたそうである。悪しき影響とは何かはっきりと解らぬが、良いことでないことは確かである。とにかく悪影響は御免である。

 ときはなる松のみどりも 春くれば今ひとしほの色まさりけり (古今集より)

 「綾の鼓」も二年目の春をむかえた。
                       平岩雅博


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