静かなファンの弁  滝見 一樹

 何事でもそうだが、あるサークルを作ると、積極的なメンバーとごく控え目なメンバーとが自然に区別され、それが比率から言えば、一対五から十位になって、何となく安定感を得るものである。サークルを支えているのは、実は静かなメンバーなのだが、動かしているのは一握りのカゲキな分子である。SFファン・グループについても同じことが言える。
 ポクは、実は、その静かなファンの一人であって、とりえは会費を滞納しないことである。今は(SFCCの外には)科学創作クラブに入っているだけだが、かつては、SFM同好会にも入っていた。両方とも、ボクはファンジンを読むのを唯一の楽しみにして、加入していた。
 さて、そのSFM同好会であるが、加入したのはTOCON-X(何回だか忘れたが、あのときの「タイムマシン」と「地底旅行」は良かった)の直後で、科学創作のクラブにも同時に入った。因みにTOKONはSFMで知って、行くべきか、行かざるべきか、大分迷って・・・と言うのはボクはとても内気な性格であるのと、年の割におつむが薄いのに悩んでいたりしたので・・・行くことにしたのは当日の十一時頃だった。それで、TOKONには遅刻してしまって、始めの方は何をやったのか判らないので映画の印象が強いのである。
 そんな訳で、SFM同好会へ加入するについては筆舌を尽せぬ努力と言うか、意志の克服を必要としたのである。言うなれば、漫画の「ショージ君」のイメージで考えて貰えば良い。
 それでも、例会に二,三回と一の日会に一度だけ行ってみた。例会は、どこかの公民館みたいなとこでだったと思うが、高校の茶話会みたいに机がコの字形に並べられて、お茶に菓子位出たと思う。柴野祐美氏を間近にみて、感激したりして、今考えると若かったと思う。まだ潰れていなかった旧「宝石」のSF特集とSFMと宇宙塵とをかかえて、丁度、そのころ通っていた英会話スクールに行くみたいに、出掛けたものであった。
  一の日会は「カスミ」に行ったのだけれど、ボクの知ってたのは牧村氏と伊藤氏位なもので、女性二人に、男性七、八人がたむろしていた。皆、山風の忍法帖か何かに夢中になっていて、不真面目だと思ったのと(つまり、SFファンなら、SFのことを話すべきだと考えていた・・・やっぱり、あの頃は若かったなあ)、例によって、年より老けて見られショックだったので、一度きりで止めてしまった。(あのとき、よりによって、何で早川SFの「ミュータント」なんか持ってったのかなあ)
 そして、それからは静かなファンとして、数年を過して来ているのである。
(注)SFCCにはカゲキ分子がとっても多いので、あえて一筆した次第である。


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