敬愛する三人の作家へ 夢枕 獏
ある古い着物の記録(ある生き物の記録)
- 小松左京へ -
時は現在より一万年の未来。
地球へおとづれた宇宙人は、そこに文明の残骸を見つけた。ところが、それらはあまりにも破壊され、彼らには、その文明を作りあげた生命の形態がつかめなかった。が、ついに彼らは、奇跡的に残っていた、その生物が身にまとっていたと思われる布を、さる密室の跡より発見した。
彼らは、それをつまみあげて言った。
「この生物は一足獣で、ふたつの首を持っている」
それは、パンティであった)
おーい、出てこい(おーい、でてこい)
-星 新一へ -
ある日、星新一はトイレへ行った。ところが、そのトイレは使用中である。彼は、ドアをどんどんたたいて言った。
「おーい 出てこい」
すると、中から星新一が出てきた。
セールスマン(笑うな)
- 筒井康隆へ -
「・・・しつれいですが」と筒井康隆は言った。「筒井康隆さんのおたくですか」
「はい」と俺は言った。「私が筒井康隆ですが」
「実は、タイム・マシンを買っていただきたいのですが・・・。おや、信用なさらないのですか・・・しつれいですが」と筒井康隆は言った。「筒井康隆さんのおたくですか」
「はい」と俺は言った。「私が筒井康隆ですが」
「実は、タイム・マシンを・・・」