秋への扉

秋風にあへず散りぬるもみじ葉の  ゆくへさだめぬ我ぞ悲しき

 これは今古集に見える歌ですが、我々の心境もこれに似て、綾の鼓も秋になる前にどうにかなってしまうのではないかと思ったのですが、しかしその様なことは決してありません。
 この「綾の鼓」第2号をご覧いただけばわかるはずですが、我々の会もこの号をもってようやく軌道に乗った感じがします。
 「綾の鼓」は本来自由な、何者にもとらわれない同人誌として発足して来た。そして「綾の鼓」に独裁者はいない、全会員が各々幹部で、その内から編集者、編集長、連絡係、印刷担当、等自ら名乗りいでてその職を継ぐ。
 〝編集者〟は原稿をいかに読みやすく配置するかを検討し印刷にかかるまでの諸行程を行う。編集は、あくまで作品を集めて編める作業であって、偏って集める事ではさらさらない。編集者は同人誌と言う意義にのっとり作者の意図をそのまま伝える事に全力を注ぐ。作品の出来、不出来は一重に作者自身に帰して来るのである。

 初めの一節にしては、やけに堅く四角(スクウェア)であるが、お許しあれ。私達がより自由になりたいが故の、言葉なのだから。
                  某日記す 島内 勇


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