「綾の鼓」第三号予告編

 いよいよ次号に、平岩雅博氏が二年半にわたって構想を練ったと言われる幻の大作「古代史家の幻想」が掲載されるはこびとなりました。豊田有恒氏も真青と言われるこの作品は、日本古代がその舞台であり、多くの資料および氏独自の古代史像をもとに古代を再現した問題作であります。
 ややヒロイックファタジー的であるこの作品は、氏の永年の夢でありました、剣と魔法小説と日本古代史の融合がみごとに成功したSF超大作であります。これだけですと通俗的なヒロイックファンタジーとの印象を受けますが、決してそのようなことはなく、古代史家の精神の相克が、また人間性が失なわれつつある現代の物質的社会を鋭く批判し、精神の退廃の嘆きなどが、せつせつたろ文章の中に焼げつく情熱をもって描かれています。
 どうかこの平岩氏の「古代史家の幻想」を期待せずにご期待ください。 (馬朗)


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