保護
「どうかね、様子は」
「はあ、別に変わりありません」
「受胎した様子はないのか」
「はあ、困った事です。何しろ、メスの数が絶対的に少ないものですから」
「フーン、困ったなあ」
「もうちょっと早く、保護の手がさしのべられていれば、楽だったんですが」
「いっその事、○○○で保護されているメスをこっちに持ってきたらどうかね」
「はあ、それも一案ですが、どうですか。保護されているせいで、性欲がなくなっているとも考えられますので」
「生命刀も弱くなっているようだね」
「はあ」
「どう、様子は」
「うん、変わらないね」
「このモルモットも駄目なのかしら」
「そうかもしれん」
「ねえ、あなた。二人でここを出る事はできないの」
「まず、無理だな。気持ちはわかるけど」
「私、どうなる事かと思ったわ。ササキさんと二人だけで隔離された時は」
「彼は立派だったよ」
「あなた」
「僕はこの頃、君を一人占めしてはいけないんじゃないかと思うんだ」
「そんな事言ったって」
「みんな、立派な隊員だよ」
「一匹死んだそうだね」
「ええ」
「死因は」
「それがちょっとおかしいんです」
「というと」
事故だと思ったんですが、意識的に死を選んだとも思えるんです。でも、死んだのがオスで不幸中の辛いでしたね」
「全くだ。何とかして絶滅をまぬがれればいいんだが」
「○○○で保護されているメスはもう老齢だというじゃありませんか」
「そうらしいね」
「○○○に比べるとここの方が望みがありそうですよ。一匹死んだのはまずかったけど、前みたいに興奮状態が続いて消耗するようなことがなくなりました」
「ほ・・・、いい徴候じゃないか」
オスもメスもみな元気です。一匹死んだのがいい契機になったみたいですね」
「よろこんで下さしい。ついにメスが受胎しました」