電話  滝見 一樹

 妻と夕食を一諸にすることで横浜駅ビルで待合せた。十分近く待ったが来なかったので、自宅へ電話してみた。出掛けたところか仲々でなかったので、切ろうとしたとき、生後四ケ月の紀ちゃんの声がした。
「アウーッ」と紀ちゃんが言った。
「アウワワワッ」と僕は合わした。
「アウークウ」と紀ちゃんも言った。
 こうして話しているとき、背中をボンと叩かれた。みると、妻が立っていた。 



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